2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18838
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 広和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30545968)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | メタン / 部分酸化 / 酸素 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、Ru-Re/Al2O3がメタンを直接部分酸化して一酸化炭素を生成すること、ならびに活性種である低原子価Re種が酸化されやすいので安定性向上が課題であることを明らかにした。この結果をもとに、低原子価Re種を安定化させる目的で、プロトン型ゼオライト担持Re触媒を調製し、メタンの酸化的改質反応を検討した。ゼオライトの種類とSi/Al比によって触媒活性が大きく変化することが分かったため、最も高い活性が得られたRe/MORに着目し、Si/Al比の影響を調べた。その結果、Si/Al比が7.5や15と低いものは一酸化炭素と水素を高収率で与えるのに対し、Si/Al比45と120のハイシリカのものを用いると、少量の一酸化炭素を生成するのみであった。これは、Re種の還元状態が維持されているか否かによっており、Si/Al比を低くするにつれて水素ガスによる還元温度が50℃程度低下することが分かった。 この結果は、酸点とRe種の相互作用の重要性を暗示しているため、どのように酸点が機能しているかラマン測定により調べたところ、未還元の触媒において、ゼオライトの酸点に水素結合したReO4-種の存在が示唆された。つまり、ゼオライトのプロトンがRe種に対して配位することにより、Re種の電子密度が低下している。このようなRe種は還元されやすいはずであり、それによって低原子価状態を安定化しているものと考えられる。DFT計算により、理論的な裏付けを試みたところ、実際に、その水素結合によりRe7+からRe4+への還元が59 kJ/molも安定化されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタノールの生成には至っていないものの、ゼオライトの使用により低原子価レニウム種を計画通り安定化させることができた。ゼオライトを用いることにより、担持金属種のコントロールがしやすくなるので、精密に制御したRe種を形成させれば、さらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Re種はゼオライトの酸点と相互作用しており、つまり細孔内に分散できていると考えられる。このことから、ゼオライトの種類を変えることにより、Re種の周辺構造を制御することができ、これによって部分酸化反応の活性・選択性を変化させられるものと考えられる。このようなアイデアによって、メタンから部分酸化生成物をより効率的に合成することを目指す。 また、本研究で得られたレニウム種は酸化触媒として興味深く、メタン以外の反応にも展開できるのではないかと考えている。そこで、他のアルカン酸化についても合わせて検討を行う。
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Research Products
(5 results)