2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18839
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
白井 誠之 岩手大学, 理工学部, 教授 (70250850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七尾 英孝 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50312509)
久保田 岳志 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (90304253)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 水素化脱硫反応 / 硫化モリブデン触媒 / 黒鉛層間化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
石油精製プロセスでは担持硫化モリブデン触媒を用い、原油に含まれるチオフェン類の硫黄を水素とさせ硫化水素として取り除いている(水素化脱硫処理)。原油中のチオフェン類を水素化脱硫させる際には有用な芳香族化合物の水素化反応も副反応として進行してしまう。水素化脱硫反応は硫化モリブデン粒子の端面で、水素化反応は安定面で進行することが知られている。本研究では、黒鉛層間に硫化モリブデン粒子を挿入させその端面のみを露出し水素化脱硫反応の活性と選択性が、従来よりも飛躍的に向上した触媒開発を行うものである。 今年度は黒鉛層間への硫化モリブデンの形成について検討した。黒鉛と塩化モリブデンとの混合物を塩素下で熱処理し、更に硫化水素で硫化処理することで、黒鉛層間硫化モリブデンの形成を試みた。黒鉛層間塩化モリブデンの調製のため、岩手大学で現有する塩素熱処理装置の改造を行った。黒鉛粉末と過剰量の塩化モリブデンの混合物について塩素処理を行った。今年度は、温度380-450℃、塩素圧0.2-0.3MPa、反応時間3-7日の条件で調製を試みた。得られた化合物(塩化モリブデン-黒鉛複合化合物)について蛍光X線分析により過剰量の塩化モリブデンの混合に対しモリブデンとして0.5wt%の塩化モリブデンが挿入されていることを確認した。得られた塩化モリブデン-黒鉛複合化合物を硫化水素処理し硫化モリブデンー黒鉛複合化合物を得た。硫化モリブデンー黒鉛複合化合物について透過型電子顕微鏡観察を行うと層状の硫化モリブデンが黒鉛層間に挿入されている様子が観察され、黒鉛層間に硫化モリブデンを挿入することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現存の装置を改造し塩化モリブデンと黒鉛との混合物を高温高圧の塩素処理することができた。塩化モリブデンと黒鉛の混合物を塩素処理、更に硫化処理した試料について、電子顕微鏡観察を行うと、層状の硫化モリブデン種が黒鉛層間に挿入されている像が得られた。現在行っている調製法で硫化モリブデン種を黒鉛層内に挿入できることがわかり研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
水素化脱硫触媒として利用するには、触媒におけるモリブデンの担持量(挿入量)を更に大きくさせる必要がある。塩化モリブデン挿入条件(温度、塩素圧、反応時間)を広く変えることにより、5%以上のモリブデンの挿入を目指す。電子顕微鏡以外にX線吸収微細構造を用いることで黒鉛内における硫化モリブデンの挿入構造を詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究に必要な物品の調達が昨年度内にできなかったこと、および、研究打ち合わせのための出張が必要回数行うことができなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。物品については代替え品も含めて検討し購入する。研究打ち合わせはコロナ禍の状況を見ながら時期を決定し行う。
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