2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18842
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 雄杰 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00761412)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 小分子活性化 / FLP / ハイブリッド触媒 / 選択還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではは固体表面FLP(Frustrated Lewis Pair)化学の開拓を目的とする。これにより、遷移金属フリーな条件下でH2、CH4、CO、CO2などの小分子を活性化し、その固定化反応を実現する。表面FLPの構築に向け、本研究では均一系FLP化学の知見を取り入れながらLewis酸とLewis塩基の表面ハイブリッド化を検討する。 2021年度は種々のLewis酸性の酸化物とLewis塩基の混合触媒を用いて、不飽和結合の水素化反応を行った。今後更なる検討が必要なものの、貴金属フリーな条件下で炭素ー炭素二重結合の水素化反応が進行し得ることを示唆する結果が得られた。しかし、触媒活性がまだ低いことから、今後酸化物および塩基の更なるチューニングにより触媒活性の向上を試みる。また、真に貴金属フリーな条件下で進行することを証明するためのコントロール実験も必要である。 本研究を推進していく過程で、不均一系担持金ナノ粒子触媒を用いると、合成ガス(COとH2の混合ガス)を用いたアルデヒドの選択的還元反応が効率よく進行することを見出した。一般的にCOは担持金属触媒の毒となり、触媒反応を阻害するが、本研究で見つけた触媒系は合成ガスを用いても還元反応が進行した。アルケンを有するアルデヒドを用いた場合、選択的にアルデヒドのみが還元されたことは特筆に値する。この担持金触媒の特徴を生かし、合成ガス中でアルケンからアルコールへの変換反応を従来系に比べ温和な条件下で達成した。また、固体表面FLPは貴金属を用いないゆえにCOに被毒されにくく、合成ガス中での反応に適しているため今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後更なる検討が必要なものの、固体表面でのLewis酸とLewis塩基のハイブリッド化により不飽和結合の水素化反応が進行することを示唆する結果が得られている。また研究当初は予期していなかったが、合成ガス中でアルデヒドの選択還元反応が温和な条件下で進行することも見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
固体表面FLPの研究に関しては、酸化物および塩基の更なるチューニングによる触媒活性の向上を試みる。加えて、真に貴金属フリーな条件下で進行することを証明する必要がある。また種々の分光学手法を駆使して固体表面FLPによるH2等の小分子活性化機構を検討する。固体表面FLPの特徴を生かして合成ガス中での選択還元反応も試みる。水素分子のみならず、メタン等の小分子の活性化および合成反応の開発を行う。 担持金触媒による合成ガス中でのアルデヒド選択的還元反応に関しては、種々の分光学手法により反応機構を検討する。これに関し、得られた結果をまとめ論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は研究が7月から始まったため、実質研究期間が数か月短くなっている。また、新型コロナウィルスの影響で学会等がオンライン会議となり、旅費が必要なくなった。研究に関しては、2021年度は主に酸化物と塩基の混合による水素化反応を検討したため、共通機器による分析の必要がなく、当初予定していた機器使用料が発生しなかった。2022年度は前年度の知見をもとに研究を幅広く展開していく予定であり、前年度未使用額を併せて、試薬、ガスなどの消耗品および共通機器の使用料等に充てる予定である。また、固体酸化物のキャラクタリゼーションに必要な紫外可視分光光度計を前年度未使用分の助成金と合わせて本年度購入し、研究を強力に推進していく予定である。
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