2023 Fiscal Year Research-status Report
量子化学計算に基づくアルツハイマー病予防トリペプチド設計の基盤確立
Project/Area Number |
21K18844
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮地 輝光 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40452023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 浩二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80399807)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 抗酸化活性 / トリペプチド / 量子化学計算 / 疾患予防効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子化学計算により求めたトリペプチドの電子状態情報から、トリペプチドの生体内活性酸素種に対する抗酸化活性、およびアルツハイマー病といった疾患予防に寄与する電子状態情報を明らかにすることをめざした。そのため本研究計画では、種々トリペプチドについて、抗酸化活性測定、量子化学計算による電子状態報解析、マウスを用いた疾患予防効果の分析を実施した。 これまで、量子化学計算によりトリペプチドの種々電子状態(たとえばHOMOのエネルギー準位やイオン化ポテンシャル)を明らかにした。さらに、トリペプチドのヒドロキシラジカルに対する抗酸化活性測定を行い、それら活性値と量子化学計算による種々電子状態との相関性を解析した結果、トリペプチドのHOMOのエネルギー準位およびイオン化ポテンシャルと抗酸化活性との間に高い相関性を見いだした。以上の研究成果から、量子化学計算によりもとまるHOMOのエネルギー準位およびイオン化ポテンシャルは、トリペプチドの抗酸化活性を予測する電子状態情報および分子構造特性として適切である可能性が高まった。 そこで2023年度は、量子化学計算情報に基づいた抗酸化活性予測の妥当性を検証するため、抗酸化活性―電子状態相関性に基づき種々トリペプチドの抗酸化活性を予測し、抗酸化活性の実測値と比較した。この結果、予測どおりの抗酸化活性をトリペプチドが示すことを確認し、量子化学計算情報のトリペプチド抗酸化活性予測への有効性を明らかにした。さらに、抗酸化活性―電子状態相関性から抗酸化活性が高く認知機能の向上に効果を示すと予測されたトリペプチドについてマウス実験をおこない、認知機能向上効果を調べた。その結果、予測通りにマウス認知機能の向上が確認された。この結果は、量子化学計算情報に基づいて認知機能向上効果のあるトリペプチドを予測できる可能性を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の純水製造装置の故障により2022年度に予定していた抗酸化活性測定やマウス実験準備が進まず進捗状況は遅れていた。2023年度は順調に実験が進み、当初研究計画で予定した研究成果は得られた。ただし、2023年度マウス実験の結果から、認知機能向上予測精度の向上にトリペプチド抗酸化活性の追加情報が必要なことがわかり、本研究目的達成に必要な研究進捗としてはやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施したマウス実験の結果から、認知機能向上予測精度の向上にトリペプチド抗酸化活性の追加情報が必要なことがわかった。この追加情報を得るため、スーパーオキシドアニオンに対するトリペプチドの抗酸化活性を測定し、量子化学計算に基づいた認知機能向上に効果を示すトリペプチド予測の精度向上を推進する。
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Causes of Carryover |
2023年度マウス実験の結果から、認知機能向上予測精度の向上にトリペプチド抗酸化活性の追加情報が必要なことがわかった。この実験結果から、本研究課題の目的達成のためには追加実験が必要となった。これら追加実験実施するための試薬・実験器具購入費、および追加実験成果を含めた研究成果発表のための論文投稿準備費として2024年度に使用する。
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