2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of practical production methods of boron nitride nanotubes
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21K18858
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野田 優 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50312997)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 窒化ホウ素ナノチューブ / 化学気相成長法 / 実用合成プロセス / ホウ素原料 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
項目1.担持触媒でのBNNTのCVD合成の深化:CNT合成での一般的な温度700~800℃に対して、BNNT合成は1000℃以上と一般に温度が高いことが知られる。Feと反応しない黒鉛基板上に、Feの凝集を抑えるAl2O3層を薄く形成し、その上にFe触媒を担持して高温のCVDに利用できるようにした。蒸気圧が比較的高いホウ酸をホウ素源、アンモニアを窒素源にCVDを実施、短尺なBNNTの成長を確認したが、ホウ酸H3BO3(g)が脱水して酸化ホウ素B2O2(g)となり、過剰の水蒸気が発生するため、BNNTの成長の改善は難しかった。一方で固体ホウ素と水蒸気の反応2B(s)+2H2O(g)→B2O2(g)+2H2(g)によるB2O2(g)供給を検討、BNNTの生成を実現した。ガスクロマトグラフィーの分析により水蒸気は検出されず、この反応は完全に進行すると判断された。 項目2.浮遊触媒でのBNNTのCVD合成への挑戦:担持触媒の活性を高温で維持するのが難しいため、浮遊触媒も検討した。ホウ酸水溶液をミストで反応炉へ供給しホウ酸蒸気を生成、フェロセン蒸気供給によりFe浮遊触媒を形成し、NH3との反応によりBNNT合成を試み、1100℃の高温でBNNTの生成を確認したが、収量は低かった。 項目1,2ともにBNNTの合成はホウ素源と窒素源の触媒反応を同時に制御する必要があり、炭素源のみの触媒反応でよいCNTと比較してとても難易度が高いことが判明した。一方でCNTは流動層法等により大量合成が実現しており、CNTを鋳型にその表面に無触媒反応でBNを形成する方法のほうが実用化への近道であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
短尺のBNNT を少量得ることができたが、触媒CVD法による合成はCNTと比較してBNNTは非常に難易度が高いことが判明した。一方で、安価なホウ素源を開発できており、このホウ素源を用いて安価となったCNTを鋳型に用いた無触媒反応でのBNNT合成へと方針を切り替える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した安価なホウ素を活用し、CNTを鋳型に用いた無触媒反応でのBNNT合成により研究開発を加速する。当研究室ではセラミックビーズ上にCVD法で高純度・短径・長尺のCNTを合成できるため、このビーズ上に固定されたCNTを鋳型にBNNTの合成を進める。また、CNTの各種成形品を鋳型として、BNNTの成形品直接合成にも取り組む。
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Causes of Carryover |
触媒CVD法によるBNNT合成が予想以上に困難であり、本格的なCVD合成装置の作製を無理に実施せず予算を繰り越した。CNTを鋳型とした無触媒CVD法によるBNNT合成の計画を立てたため、2022年度にその装置開発に予算を使用する計画である。
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