2022 Fiscal Year Annual Research Report
Revolution of graphite-intercalation-compound (GIC) research by highly controlled bilayer graphene
Project/Area Number |
21K18878
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 浩樹 九州大学, グローバルイノベーションセンター, 教授 (10356355)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 二層グラフェン / インターカレーション / 二次元ナノ空間 / 黒鉛層間化合物 / CVD |
Outline of Annual Research Achievements |
黒鉛(グラファイト)の層間に分子やイオンを挿入した黒鉛層間化合物(GIC)は、挿入物質に依存して電子・光・磁気物性が著しく変化し、超伝導を含めた興味深い物性が多く観察されることから、以前より活発に研究が行われてきた。一方、近年、黒鉛を極限まで薄くしたグラフェンが、その特異的な構造と物性から大きな注目を集めている。我々は、サファイア上に製膜した金属薄膜を触媒としてグラフェンをCVD合成する独自の高品質合成法を開発してきた。本研究ではCVD法によって大面積で作る二層グラフェンと、最新の電子顕微鏡を活用することで、GICに関する新規の知見を得て、革新をもたらすことを目的として研究を行った。 CVD合成した単層グラフェンを、転写によって二枚重ねることで、積層角度を制御した大面積の二層グラフェンを作製し、それに対して金属塩化物のインターカレーションを行った。その結果、インターカレーションの割合が積層角度に大きく依存し、ツイスト角が大きくなるほどインターカレーションの割合が増えることを初めて見い出すことができた。この成果はACS Nanoに掲載されるとともに、同誌のCoverとしても採用された。また、三層グラフェンに関しても新たな知見を得ており、論文を準備中である。さらに、アルカリ金属やアルカリ土類金属などのインターカレーションも行い、全く新しい二次元構造を複数見い出し、この成果について論文を投稿中である。また、インターカレーション後の二層グラフェンの低温での電気抵抗変化など、物性に関しても有用な知見が得られた。 上記の研究成果は二次元ナノ空間を用いた新たな物質創製に関するコンセプトを与えるものであり、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池など今後のエネルギー応用において大きく貢献するものと期待できる。
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Research Products
(30 results)