2021 Fiscal Year Research-status Report
トライボエレクトリック発電デバイスの開発と摩擦帯電メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K18879
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 康次 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70315159)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | トライボエレクトリック発電 / エネルギーハーベスティング / 摩擦帯電 / 表面電荷密度 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
トライボエレクトリック発電器のマイクロ化を目的として、回転型トライボエレクトリック装置を作製し、装置ローターの直径と羽根枚数違いが発電出力に与える影響を調べた。さらに回転数とトルクを測定して装置の発電効率を評価するとともに、外部負荷抵抗を変えたときの電流-電圧特性を測定し、古典的なモデル電気回路で出力特性の評価を試みた。測定された発電効率は非常に低かったが、モデルとの比較により、作製した発電器の表面電荷密度が一般的な報告値の1/10程度であることに起因していることがわかった。ローターと電極の平行度や距離といった技術的な課題が表面電荷密度を下げていると考えられる。単純な発電回路モデルでは羽根枚数と回転数の積と発電電流が比例するが、どの羽根枚数にあっても積が400rad/sを超えるとそれ以上電流が増加しなかった。一方、電圧は回転数と羽根枚数の積に対して一定であったが、羽根枚数を増やすと電圧が低下した。面積のみに依存すべき値であるため、さらなる考察が必要である。ローターと電極材料の関係によってのみ決まる表面電荷密度に考察を深めたいが、ローターと電極の接触に技術的な問題があるため解決が必須である。装置サイズと発電量については、電極面積と電流、電極面積と電圧が比例し、装置サイズが大きいほど発電量が増加すると考えられるが、単位面積あたりで電流を評価したところ、直径60から75mmが最大となった。3Dプリンターでローターを作製しているため、直径60mm程度での加工が平らなローターを作製するのに適していたとも考えられ、半導体技術など精度の高い加工法を採用することも課題である。今後、これら技術的な課題を解決して、サイズ、形状、材料が発電性能を制御するパラメーターになるよう理想的な環境を整え、材料に依存する摩擦帯電のメカニズム解明を通したトライボエレクトリック発電の性能向上に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ローターと電極材料の組み合わせのみがトライボエレクトリック発電器の発電量を決める状況を生み出す必要があったが、形状やサイズを変えるとそれに合わせてローターと電極の接触状態が変わり、材料と発電特性の関係を見いだせない状態にある。装置を縦置きにするか横置きにするかという単純な問題から、加工法の検討など高度に技術的な問題も関係しており、想定より進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、加工精度や装置設置など技術的問題を解決した上で、発電器の形状とサイズを固定して、材料のみを変えて発電量を調べる研究を進め、摩擦帯電現象のメカニズム解明に力を入れる。摩擦帯電系列によれば、ウールや絹といった生物由来の材料が高い発電特性を持つことが期待され、それら材料でローター表面を覆う技術を導入し、材料の違いによって引き起こされる発電特性の違いを調べ、摩擦帯電現象メカニズムの考察を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあって旅費が発生しなかったことも見据えて物品を購入してきたが、次年度に物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)