2021 Fiscal Year Research-status Report
Chiral Induction of Plasmonic Materials by Chiral Light
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21K18884
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
岡本 裕巳 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 教授 (20185482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHN HyoYong 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 新分野創成センター, 特任助教 (70844348)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | キラリティ / プラズモン / 円偏光 / 不斉誘起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,キラルでない液晶分子の集合体をテンプレートとした金微粒子集合構造についての,光による不斉誘起の試みを一つの主要なターゲットと考えて研究計画を立てている。その系は,代表者がポーランドの研究者との共同研究を通じて入手することとしているが,COVID-19感染症蔓延のため,ポーランドとの連絡・往来が円滑に行えず,想定した進展が得られない状況となっている。そこで,関連する不斉誘起を試みる系として,キラルでないプラズモン物質へのキラルな構造を持つ光(円偏光,光渦)の照射により,光化学反応を通じて,キラルなナノ構造を生成する試みを行った。 キラルでないプラズモン物質はガラス基板上に準備し,その周辺に光反応を起こす物質を液体状態で満たした。その上で系に左右円偏光を照射して光化学反応を誘起し,プラズモン物質周辺に生成するナノ構造体の状況を,電子顕微鏡等で観察した。その結果,ある条件下では,極めて特徴的な,キラルナノ構造がプラズモン物質の周辺に生成することが見いだされた。その掌性は,照射する円偏光の掌性により制御された。また,このような単一のナノ構造体の円偏光二色性を,我々の独自の技術である円偏光二色性顕微イメージング装置で観察したところ,構造体の掌性に応じた円偏光二色性信号を示すことが見いだされ,構造の掌性がキラル光学効果に相関していることがわかった。この特徴的なキラル構造生成の機構についての情報を得るため,設定したプラズモン物質に円偏光を照射したときの周辺の電場構造について,電磁気学シミュレーションを行い,解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染状況の影響により,海外との共同研究に支障が出ており,そのため金微粒子の螺旋状集合構造に関する研究は予定通りの進捗とは言えないものの,関連するプラズモン系の関与する光化学反応系において,円偏光による特徴的なキラル構造創出を見出した。キラルな光による不斉誘起という大きな目標の観点からは,着実に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
見出した特徴的なキラル構造生成についての実験と考察を深め,その機構等について解析を進めて成果を取りまとめる。この構造体を応用することで,新たなキラル光学効果の機能を持つ物質を創出する可能性があり,その方向での検討も進める。また,液晶分子集合体をテンプレートとした螺旋状金微粒子集合体についても,状況を見計らって海外との共同研究を再開し,当初計画に従った実験を試みる。
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Causes of Carryover |
当初計画では共同研究及び学会報告等に要する旅費を計上していたが,新型コロナウィルス感染症の影響により,それらが執行できなくなったことが,主な理由である。次年度には状況が許せば出張を再開して旅費として使用する。依然感染状況が思わしくなく,出張が困難な場合は,通信費の他,実験研究を加速する目的で物品購入に充てる。
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