2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波エンハンス電気化学歪み顕微鏡の原理解明とイオン伝導体等の評価への展開
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21K18887
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平永 良臣 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (70436161)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | プローブ顕微鏡 / 電気化学歪み顕微鏡 / イオン伝導体 / マイクロ波 / 結晶欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,局所イオン導電率のイメージングにおけるマイクロ波エンハンス効果を利用した,新たなナノスケール物性評価手法を開発するものである.具体的には,1.電池用材料(正極材・負極材・固体電解質)に対するマイクロ波エンハンスESM評価,2.電池用材料以外のイオン伝導体材料に対するマイクロ波エンハンスESM評価,3.上記以外の不純物や結晶欠陥を含む材料(低イオン導電率材料)に対するマイクロ波エンハンスESM評価,4.マイクロ波によりESM信号がエンハンスされるメカニズムの解明に関する研究を今後行い,これを通じて本手法を用いた各種デバイスの劣化メカニズムの微視的解析手法の開発,あるいは逆に欠陥を積極的に利用した新原理に基づくデバイスの創出に繋げるといった応用展開を目指すものである.2021年度はこれらの研究遂行を行うための計測装置のセットアップを行った.これを用いて,次世代リチウムイオン電池用酸化物系固体電解質の一つであるランタンリチウムチタン酸化物(LLTO)の観察を行い,マイクロ波電界を印加しながら測定を行うことで,未印加時に比べて応答信号強度が劇的に増大することを確認した.加えて,同装置を用いてタンタル酸リチウム(LiTaO3)単結晶の観察を行い,同様のマイクロ波エンハンス効果が見られることを確認した.LiTaO3は室温ではほとんどイオン電導性を示さない結晶である.これは,同手法によって絶縁物中の結晶欠陥由来の通常は極めて低い導電率が,マイクロ波電界の印加によって増大し,応答信号の増大をもたらすといった可能性を示唆する結果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である2021年度は研究遂行に必要な計測装置のセットアップを行い,いくつかの計測サンプルに対し計測を行った.しかしながら,計測したサンプルはLLTOやLiTaO3といった一部のサンプルにとどまり,十分に多岐にわたる材料系についての計測を行うには至っていない.また,マイクロ波電界を印加することによってどのようなメカニズムでESM信号が増大するかについては引き続き考察・検証が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は当初の研究計画に基づき,どのような材料においてマイクロ波によるエンハンス効果が顕著に観察されるかを,様々な計測サンプルに対して調べる予定である.あわせて周波数掃引やマイクロ波強度依存性などの基礎データを蓄積し,マイクロ波によりESM信号がエンハンスされるメカニズムの解明を目指す.
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Causes of Carryover |
当該研究課題では研究遂行において計測時に必要なカンチレバーおよび計測サンプルを消耗品として使用する必要があり,その調達経費を予算として計上している.一方で,初年度は研究遂行のための計測装置のセットアップを実施したが,これを用いた計測についてはまずは既有の計測サンプル(LLTOおよびLiTaO3)および既有のカンチレバーを用いて実施したため,新規には購入していない.次年度以降はより多岐にわたる材料系に対しての計測を実施するために,必要なタイミングで適切なカンチレバーならびに計測サンプルを適切な量調達する予定である.
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