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2021 Fiscal Year Research-status Report

スピン偏極STMによるキラル分子巨大スピンフィルター効果の微視的起源の解明

Research Project

Project/Area Number 21K18888
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

岡 博文  東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (70374600)

Project Period (FY) 2021-07-09 – 2023-03-31
Keywordsスピン偏極STM / キラル分子 / キラリティ誘起スピン偏極
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、分子のキラリティに由来する巨大なスピンフィルター効果の微視的なメカニズムを解明するため、ローカルプローブであるスピン偏極走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、分子のキラリティとスピン偏極度の相関を明らかにすることである。そこで、まずSTMによる表面構造観察から分子のキラリティを同定することができる試料を作製した。次に、その試料に対して、スピン偏極度を判別することができるスピン偏極STM測定を行った。具体的には以下の項目に取り組んだ。
(1)キラル分子試料の作製
システインにはD-システインとL-システインの鏡像異性体が存在し、スピンフィルター効果を示すと報告されていることから [Appl. Phys. Lett. 105, 242408 (2014)]、システインを本研究のキラル分子試料に用いた。室温でAu(110)基板にシステインを蒸着し、100度でアニールすると、2つのシステインからなるダイマーが形成され、そのダイマー構造がキラリティに依存することがわかった。また、D-システインとL-システインを共蒸着した試料においても、2種類のダイマー構造が共存することがわかり、STMによる表面構造観察からD-システインとL-システインを同定できることがわかった。
(2)キラル分子のスピン偏極STM測定
上記(1)で作製したD-システインとL-システインのダイマーが共存する試料において、Coを蒸着したW探針を用いて、スピン偏極STM測定を行った。しかしながら、システインダイマー上で測定したdI/dVスペクトルは磁場依存性を示さず、予想に反しシステインを通ってきた電子はスピン偏極していないことがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

システインのスピン偏極STM測定から得られた結果は予想に反するものであったが、予定していた実験項目を順調に進めることができたため、そのように評価した。

Strategy for Future Research Activity

今後は、STMによる表面構造観察から分子のキラリティを同定することができると報告されているCu(111)基板上のヘリセン [Nature 439, 449 (2006)、Nano Lett. 15, 5388 (2015)]の作製に取り組み、システインと同様スピン偏極STM測定によるスピン偏極度の検出を行う。また、ごく最近の研究から、分子のスピンフィルター効果には分子の「キラリティ」だけでなく「螺旋性」も重要であることがわかってきている。システインは平面的な分子で螺旋性を示さないことから、得られた結果をこのような観点のもと考察する。

Causes of Carryover

液体ヘリウム供給施設の更新にともない年度の後半4ヶ月間、液体ヘリウムの供給が停止したため、液体ヘリウムの使用料金として計上していた予算を次年度に繰り越した。
予定していた回数以上の液体ヘリウムを使ったスピン偏極STM測定が可能となったので、電子状態の詳細測定を行う予定である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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