2022 Fiscal Year Research-status Report
単一光子の決定論的スイッチングを可能にする光ファイバー内群速度「不整合」カー効果
Project/Area Number |
21K18902
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金田 文寛 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80822478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAEK SOYOUNG 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70826172)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 光子 / 光スイッチ / 量子光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
単一光子は量子情報処理における有力な量子ビット媒体であり、その操作には極限の低損失化、高速化、高精度化が要求されている。しかし、ほぼ全ての光スイッチング素子は、その物理的大きさによって、低損失性か高速性の一方しか達成できていない。本研究では、現在成功的に商用化されている数少ない低損失光閉じ込めデバイスである光ファイバーと、その内部で起こる、高速な光パルスの重なりに基づく全光学的単一光子スイッチングの実証を目標として研究を実施している。 本年度では、昨年度設計したカー効果用光ファイバーを中心とした光学系を構築し、ゲート光パルスと単一光子パルスの2つの異なる波長で高いファイバー結合効率を実現した(>90%)。しかし、その後学内異動等のために実験継続が困難となり、ノイズ光子や偏波ドリフト等の評価を実施することはできなかった。 一方で、1300 nm帯での単一光子発生手法において、昨年度明らかにした自発パラメトリック下方変換の群速度整合に加え、分極構造の制御による高い純粋度をもつ伝令付き単一光子発生法を発見した。これは本研究の単一光子のスイッチングの実証のみならず、光通信Oバンドにて高精度な光量子情報処理を実現するための重要光源となる可能性をもつ。 さらに、昨年度新手法として実証した電気光学スイッチングによる偏光状態に依存しない新たな単一光子スイッチング手法において、ナノ秒の分解能をもつ世界で最も低損失なスイッチの実証に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1300 nm帯の単一光子発生における高い純粋度が達成可能な新たな自発パラメトリック下方変換光子対源の設計や、バルク電気光学素子を用いた高精度偏波無依存光スイッチが実現されたことは当初の予定を上回る成果である一方、所属部局の異動等のために光ファイバー内での偏波制御やノイズ光子の実験的評価が当初の予定より遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在やや遅れている光ファイバー内でのノイズ光子評価を完了し、微弱光における群速度不整合カー効果を実証することを最優先課題として研究を進める。また、当初の予定以上に進展している1300 nm帯の高純粋度単一光子発生の実証と、バルク型偏波無依存光スイッチの単一光子状態への適用についても評価を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は主に研究代表者の学内異動や学生研究者が本プロジェクト研究の継続が困難となったため、予定していた計画よりやや遅れている。そのため、研究機関を延長し、進行に応じて必要機器購入や研究発表を実施するために次年度使用額が生じている。
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Research Products
(5 results)