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2022 Fiscal Year Research-status Report

偏光制御フェムト秒パルス列を用いたフォノンエコー計測法の開発とデコヒーレンス計測

Research Project

Project/Area Number 21K18904
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

中村 一隆  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20302979)

Project Period (FY) 2021-07-09 – 2024-03-31
Keywordsフェムト秒 / コヒーレントフォオン / アト秒
Outline of Annual Research Achievements

2022年度には,2021年度に整備した装置を用いて,第二次高調波発生を用いた自己相関計測を行い,パルス幅やタイミング制御の確認を行なった。また,相対位相制御4パルスを用いてダイヤモンド光学フォノンの計測と制御の実験を行なった。3つのパルスP1,P3,P4を用いた,シングルパルス励起でダブルプローブパルス検出する測定では,P3P4の遅延に依存した干渉が観測された。その位相はプローブパルスの相対偏光が平行と直交のときで180度異なっていた。4パルスを使った測定では,2ポンプパルス間隔と偏光,2プローブパルス間隔と偏光を制御することで,コヒーレント光学フォノンの干渉形状に違いが観測されている。こうした干渉の振る舞いについては,現在プローブ過程における量子モデル計算による解析を始めている。
理論研究としては,偏光を考慮に入れたプローブ過程の量子モデル計算に着手している。また,励起パルスによるコヒーレント光学フォノンの量子モデル計算においても,状態関数を電子状態とフォノン状態の積状態を用いて展開し,係数の時間発展を直接数値計算が行えるようにした。これまでの二次摂動を超えた効果を考慮するとともに,初期フォノン分布を考慮した計算ができるようになった。振動数4.5THzの光学フォノンモードに対して,温度10Kと290Kでの熱平衡分布を初期状態として,コヒーレント光学フォノン振幅を計算した。その結果,振動状態指定した振動変位は振動状態に依存したが,全体としてのフォノン振動振幅には,顕著な温度依存が見られないことが明らかになった。また,フォノン振幅の分散が2倍の振動数で振動することがわかり,完全なコヒーレント状態にはないことが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,偏光制御したフェムト秒パルス列を用いたポンプ・プローブ型のフォノンエコー計測法を開発し,フォノンデコヒーレンスの計測を行うことである。この計測システムでは,ポンプパルスとプローブパルスの両方の偏光制御したパルス列にし,さらにそのパルス間隔を精緻に制御することが必要である。現在までの研究において,本計測システムに必要なパルス列を発生し,過渡反射計測を行うシステムを制作できている。このシステムで,2つのポンプパルス列と2つのプローブパルス列のアト秒精度での制御を,第二次高調波発生を用いた自己相関測定を用いて確かめている。各パルスは独立に偏光を制御できるようになっており,コヒーレント光学フォノンの偏光依存性が計測できている。また,4パルスを用いたコヒーレント光学フォノン制御もできている。また,理論研究では,摂動計算を用いずにフォノン生成の計算を行うことで,フォノン初期条件を取り込んだ理論計算ができるようになった。以上のことから,「研究はおおむね順調に進んでいる」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

2022年度までに整備した,相対位相と偏光を制御した4フェムト秒パルス列を用いた過渡反射・透過強度計測装置を用いて,コヒーレント光学フォノン計測を引き続き行う。特に,ラマン散乱テンソルを考慮した偏光制御とポンプ間遅延とプローブ間遅延の相対遅延時間に依存した,コヒーレントフォノン強度変化を調べることで,フォノンエコー成分の寄与の測定を行う。これまでに測定した4パルス測定結果の解析を行うとともに,引き続き,ダイヤモンドのコヒーレント光学フォノン計測を行う。また,過渡反射率計測以外に,ダイヤモンド(およびNVダイヤモンド)を用いて,光励起で発生するラマン光の検出および光相関計測も手がける。
ダイヤモンドの場合にはラマン過程のみを調べられるメリットがある一方で,フォノンデコヒーレンス時間が比較的長く顕著な不均一効果が見られない可能性があるため,他の試料を用いた計測も手がける。また,装置がエコー測定できていることをきちんと調べるために,電子状態のエコーシグナル測定を100fs秒以上の寿命を持つGaAs/AlGaAs多重量子井戸系でのエキシトンでのエコーシグナル測定も試みる。この系では,同時にコヒーレント光学フォノンの計測も可能な系である。
理論研究では,プローブ過程に偏光依存性を組み込むとともに,ポンプ・プローブ全過程を通したモデル計算に取り組む。

Causes of Carryover

2022年度も引き続き新型コロナウィルス感染症の影響のため,学会開催の中止やオンライオン開催が続いたため,学会発表等のために計画していた旅費や参加費の費用が少なく,次年度使用が生じた。次年度には,実験を遂行するために必要なレーザー部品,光学部品などの物品購入に使用する。また,これまでの研究成果を国内,国際学会で発表するための,旅費や参加費に使用する。また,学会誌に投稿するための,英文校閲,投稿費用,オープンアクセス費用などの経費に使用する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] The influence of initial phonon states on the generation of coherent optical phonons2023

    • Author(s)
      Takagi Itsuki、Nakamura Kazutaka G.
    • Journal Title

      Solid State Communications

      Volume: 360 Pages: 115053~115053

    • DOI

      10.1016/j.ssc.2022.115053

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Quantum theory for generation and control of coherent phonons in solids2022

    • Author(s)
      Kazutaka G. Nakamura, Itsuki Takagi, and Yosuke Kayanuma
    • Organizer
      Conference on Laser and Synchrotron Radiation Combination Experiments 2022
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] コヒーレント光学フォノン生成に対する初期フォノン分布効果の理論計算2022

    • Author(s)
      高木一旗,中村一隆
    • Organizer
      第83回応用物理学会秋季学術講演会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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