2022 Fiscal Year Annual Research Report
層状酸化物正極材単結晶の電極現象解明と単結晶リチウムイオン電池への展開
Project/Area Number |
21K18906
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 功 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40155114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金村 聖志 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (30169552)
丸山 祐樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10782469)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 単結晶リチウムイオン電池 / 層状酸化物 / LiCoO2単結晶 / 電極現象 / 元素置換 / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
コバルト酸リチウムLiCoO2の特徴であるLi+イオン伝導層とCoO2電子伝導層が積層した構造に着目して、LiCoO2単結晶を用いてリチウムイオン電池の正極としての真の電極現象や電極界面現象を結晶方位および異方性の面から解明する。さらに、LiCoO2単結晶を用いた究極の高配向性な単結晶リチウムイオン電池を開発することを目的としている。 本研究目的を達成するために、(1)元素置換LiCoO2単結晶の育成、(2) LiCoO2単結晶を用いた電極現象および電極界面現象の解明、(3) LiCoO2単結晶基板上へのLi3PO4固体電解質膜作製を行った。 Zr4+, Nb5+またはMg2+の置換によるLiCoO2単結晶の高伝導化の効果を検討した。Zr4+やNb5+では、その固溶領域が約1at%以下と小さく異相が析出しやすく、Zr4+置換LiCoO2単結晶のイオン伝導度が無添加LiCoO2単結晶の約2倍大きいことがわかった。一方、Mg置換においては、その固溶領域が約2 at%と広く異相が析出しにくく、Mg2+置換LiCoO2単結晶の[100]のイオン伝導度が無添加LiCoO2単結晶の約18倍も大きいことを明らかにした。また、Zr置換LiCoO2育成結晶を用いて液体電解質でセルを作製して電極現象や電極界面現象を調べたところ、容量112 mA h/gであり無添加LiCoO2単結晶の145 mA h/gに比べて小さく、異相の析出など結晶の品質に強く影響することが明らかになった。 LiCoO2基板上へのLi3PO4固体電解質膜作製において、Li3PO4組成よりP2O5 過剰なフラックスを用いてO2 雰囲気下で LiCoO2 基板の融解や反応を起こさずにLi3PO4結晶膜を育成することに成功した。今後は、LiCoO2単結晶基板を用いて成膜条件を最適化することで単結晶リチウム電池を実現する計画である。
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Research Products
(8 results)