2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18909
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山ノ井 航平 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (30722813)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 光学ガラス / 自己修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的にガラスは割れやすい材料であるとされている。しかし、ガラスの理論強度は数GPaと高く鋼にも匹敵するが、実際は実用されている材料では1/100程度になる。この原因は表面に鋭いキズ(クラック)が存在するとそこに応力が集中し、小さなクラックを起点としてさらにクラックが広がるためである。本提案では、欠陥や物理的な応力によるクラック(割れ)の破壊現象からの自己修復可能な結晶材料及びガラス材料の開発を目的として、クラックの回復現象の再現実験を複数回実施し、再現性を確認した。その際、湿度、温度の違いによる現象発現の差異を試しており、各相関を確認した。回復しないクラックも発生しており、回復するクラックとの差異を確認する必要がある。回復した箇所に再度の応力負荷をかけることにより、一部分に回復前と同様のクラックが発生していることを確認している。このことから、完全な回復が発生しているとは言い難いが、歪み測定などによって、定量的に調査する必要がある。前年度に光弾性測定による歪み測定を実施し、クラックの発生前と発生から回復した後で比較した。クラックの発生により、ガラス内の応力変化が見られたが、クラックからの光散乱が大きく、詳細な解析までに至らなかった。さらに、レーザー干渉計測に用いるサンプル作成を行い、レーザー干渉計測を実施し、割れの発生と回復をリアルタイムで計測を行なった。繰り返しの測定が困難であり、測定条件の最適化ができていないが、得られた干渉の変化からより詳細にデータを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最適化が困難であったが、予定通りにレーザー干渉による測定を実施し、ある程度の結果が得られた。リアルタイムでの計測であったため、データ量が多く詳細な解析には至っていないが、割れによる変化が見えており、概ね順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
組成を変えたサンプルを準備し、同様の実験を行うことで、ガラス組成の変化からくる回復の違いを明瞭に測定する。各組成を変えたサンプルの均一性に課題があるため、製作の中で条件最適化することで達成する。組成のみならず、ガラスのアニール温度や時間によっても性質がわずかに変化するため、これらの変化を明らかにするためにより多くのサンプル準備が必要である。
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