2021 Fiscal Year Research-status Report
Increased performance of nanophotonic devices by utilizing structural fluctuation information with deep learning
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21K18912
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田邉 孝純 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40393805)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 光エレクトロニクス / 量子エレクトロニクス / フォトニック結晶 / 機械学習 / ナノフォトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
フォトニック結晶を用いて超小型でかつ高精度な分光器を実現することを目指した研究である.ナノフォトニクス素子は,つねに作製制度の問題に悩まされてきた.本研究では逆に作製誤差を性能向上に用いる.具体的には,作製した素子のランダム性に起因する光局在が波長依存性が強いことを利用して,光局在の波長に対するデータベースを構築し,そのデータベースを用いて未知の波長の入力を再構築することを目指している.当然ながら,それぞれの素子に対してデータベースを構築する必要があるが,それは従来の分光器でも行われてきた素子の波長校正に対応する作業であるので問題とはならない. 本年度は基本動作の確認と,最適化アルゴリズムを用いて,単一波長及び多波長の光を再構築できることを実証した. 単一波長の再構築は,多くの波長パタンを事前に学習しておき,機械学習アルゴリズムを用いることで,未知の波長が入力した際に,その波長を特定した.局在モードがQ値で表現すれば10の5乗のオーダであるので,数10pm入力波長が異なると,異なるパタンが得られることから,その程度の波長分解能が期待できることを示した.具体的には0.2nm以下の波長分解能を実証した. 多波長波長の再構築は,事前に単一波長での局在パタンを測定しておき,多波長はその局在パタンの組み合わせで表現できることを見出し,その組み合わせパタンを最適化アルゴリズムで求めた.この手法を用いることによって,1mmをはるかに切る素子サイズにて,0.2 nmを切る波長分解能で通信波長帯の光の波長を同定できることを示した.通常,波長分解能と装置のサイズはトレードオフの関係にあるため,このサイズでこの分解能が得られる事は特筆に値する成果であると言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,基本動作の確認を目標としている.具体的には,局在パタンを学習し,その学習結果を用いて未知の波長の入力を識別させることの実証を目的としていた.その結果は所望の動作が得られたばかりでなく,0.2nm以下という極めて高い分解能が得られることを示すことができた.プログラムの構築,フォトニック結晶導波路の局在パタンのデータの取得など計画どおりに進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に基本動作の確認ができた.具体的には単一波長の再構築を機械学習,多波長の再構築を最適化アルゴリズムを用いて実現した.最適化アルゴリズムを用いると,測定毎に再構築アルゴリズムを回す必要があり,再構築に時間がかかる.そこで,本年度は機械学習を用いて多波長の再構築を目指す.それによって,一度カリブレーションすれば,測定は高速に行えるようになる. また,分光素子としてのパッケージング化に必要な要素技術についても取り組む.例えば,現在は1550nmの光パタンを取得するためにIRカメラを用いているが,光が局在するので十分な非線形光学効果を発現できる可能性があり,それを用いてCMOSカメラに感度のある波長に変換してそのパタンをカメラで取得できる可能性がある.それによってコストの削減が可能となる.こうした実用化に向けた要素技術開発にも取り組む.
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Research Products
(2 results)