2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18930
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (50394903)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 二次元半導体 / 単一光子光源 / 固体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究課題の基盤技術となる「厚さが1から数原子という極薄の半導体(原子層半導体)への制御性の高い置換型ドーピング法の開発」に注力した。ドーピングは、本研究で目的とする単一光子光源として機能する発光中心の作製だけでなく、半導体デバイスの応用において必須技術の一つである。シリコンの場合、制御可能なドーピング方法としてイオン注入法が広く用いられてきたが、サブナノメートルの超薄膜半導体である原子層は、高エネルギーイオンビームによる損傷が激しく、イオン注入法の適用が困難であることが分かっている。そこで、本年度は、原子層に適用できる制御性の高いドーピング法として、低運動エネルギー原子ビーム照射に着目し検討を進めた。その結果、MX2(M:遷移金属、X:カルコゲン)の組成をもつ遷移金属ダイカコゲナイド(TMD)原子層に対して、NbおよびReを精度良く挿入する方法を確立することに成功した。ドープした単層WSe2のHAADF-STEM像では、W原子に由来する明るいスポットに加え、W原子と置換する形で入ったNbやReが確認された。また、NbをドープしたWSe2 FETデバイスは、Nbが正孔ドーパントとして働くためゲート電圧を正に掃引するとドレイン電流が増加する、いわゆるp型特性を示すとともに、オン電流は10 uAに達することが分かった。次年度以降は、光学特性の評価に注力し、単一光子発光に由来する発光ピークを検出することを目指して研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤技術となる置換型不純物のドープ法を確立することができた。この技術を適用することで、次年度以降にさまざまな不純物を制御して原子層半導体に導入し、その光学特性を調べていくことができる。とくに、当初予定していなかった半導体デバイスへの応用についても検討が進み、その結果はすでにACS Nanoに発表済みである。次年度以降の研究の基盤を築くことができたことに加えて、当初の予定以上の成果が出たことから、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記した通り、本研究で基盤となる技術を確立できたことから、今後はその技術を積極的に活用して、さまざまな不純物をドープした原子層半導体の創製とその光学特性の観測を進める。有望な発光ピークが検出された場合は、光子相関関数の測定をすすめ単一光子発光が起こっているかどうかを確かめる。
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Causes of Carryover |
当該研究において当初の予定とは異なる興味深い結果が得られたため、まずはそちらを優先的に調べることとした。そのため、必要経費が次年度送りとなり次年度使用額が生じることとなった。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Versatile Post-Doping toward Two-Dimensional Semiconductors2021
Author(s)
Yuya Murai, Shaochun Zhang, Takato Hotta, Zheng Liu, Takahiko Endo, Hiroshi Shimizu, Yasumitsu Miyata, Toshifumi Irisawa, Yanlin Gao, Mina Maruyama, Susumu Okada, Hiroyuki Mogi, Tomohiro Sato, Shoji Yoshida, Hidemi Shigekawa, Takashi Taniguchi, Kenji Watanabe, Ruben Canton-Vitoria, Ryo Kitaura
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Journal Title
ACS nano
Volume: 15
Pages: 1925-19232
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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