2021 Fiscal Year Research-status Report
芳香環構築による鞍型π共役分子の触媒的合成と基礎科学の開拓
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21K18949
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 健 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40359683)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 有機合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下に示す研究を実施し有益な知見を得た。カチオン性ロジウム(I)/軸不斉ビアリールビスホスフィン錯体触媒を用いた分子内不斉[2+2+2]付加環化反応により、高度なねじれと歪みを有する鞍型シクロフェニレン誘導体の合成を目指し、原料となるポリインの合成とその分子内不斉[2+2+2]付加環化反応を検討した。その結果、パラジウム触媒を用いたアリールハライドとアルキンとの分子間薗頭・萩原カップリング反応と、炭酸カリウムを塩基として用いるフェノール誘導体とプロパリジルブロミドとの分子間エーテル結合生成反応により、原料となるポリインの合成に成功した。そして、得られたポリインの分子内不斉[2+2+2]付加環化反応により高度なねじれと歪みを有する鞍型シクロフェニレン誘導体の合成に成功した。しかし、様々な検討を行なったが単結晶の作成には成功しておらず、単結晶X線結晶構造解析による構造確認が課題である。このシクロフェニレン誘導体はこれまでに合成例のないトポロジー(キラリティー)を有しており、この触媒的不斉合成は大きな意義をもつ研究成果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、高度なねじれと歪みを有する鞍型シクロフェニレン誘導体の合成に成功したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。また、今年度得られたこれらの成果は、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、合成された鞍型シクロフェニレン誘導体の単結晶を作成し、単結晶X線結晶構造解析による構造確認を行う。また、電子構造、光学特性、およびキロプティカル特性を実験と理論計算により明らかにする。さらに、様々な新奇鞍型シクロフェニレン誘導体の不斉合成も検討していく計画である。以上の研究により、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を実証していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
合成実験よりも単結晶作成作業に時間を要したこと、学会がオンラインとなり旅費が不要となったことから、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)