2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of general synthetic method for tetraarylammonium salts
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21K18955
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 誠 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10376486)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | アンモニウム塩 / C-N結合形成 / フォトレドックス触媒 / テトラアリールアンモニウム塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に記載した項目に従って以下の研究を行った。 (1) アザシラトリプチセンおよびアザホスファトリプチセンを経由する合成経路:この項目ではケイ素またはリンを架橋部位に持つトリプチセンを合成、これとNi錯体を反応させる検討を行った。ケイ素誘導体は合成を行うことができなかったが、リン誘導体は合成が可能であった。アザホスファトリプチセンはリンと窒素を同時に有するため、これらの原子のどちらかに選択的に金属を配位させることが難しかった。これを受けてリン原子をメチル化することでホスホニウム塩へと誘導したが、この場合はカチオン電荷のためか、窒素が金属に配位して反応が進行したと確認できることはなかった。 (2) アザボラアントラセンを経由する合成経路:この項目では窒素とホウ素が置換したアントラセンを合成、これとベンザインの反応により一気にテトラアリールアンモニウム塩を形成することを試みた。ベンザイン原料とアザボラアントラセンの一部消失は確認ができたが、目的のテトラアリールアンモニウム塩の形成の確認はできなかった。 (3) o-ブロモフェニル置換トリアリールアミンを経由する合成経路:この項目ではケイ素で架橋されたo-ブロモフェニル基を置換基として有するトリアリールアミンを合成、その臭素をアミノ基に変換、さらにジアゾ化、環化、C-Si結合切断を行うことでテトラアリールアンモニウム塩を形成することを試みた。この検討は現在も継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) アザシラトリプチセンは特許を参考に合成の検討を行った。まずヒドリドまたはメチル基を有するシランにo-ブロモフェニル基を3つ導入したトリアリールアミンを合成した。ヒドロトリアリールシランにナトリウムアミドを反応させることでアザシラトリプチセン骨格の形成を狙ったところ、質量分析によりアザシラトリプチセンの形成は確認できたが、化合物の不安定性のためか、単離には至っていない。メチル誘導体については単結晶X線解析により構造決定はできたが、再現性良く合成を行うことができなかったために検討を中止した。 アザホスファトリプチセンは文献に従って合成を行い、ラジカルカチオンへと導くために種々の1電子酸化剤との反応を行ったが、ラジカルカチオンが得られなかったためこの反応は検討を中止した。一方、系内で発生させるアリールNi(III)錯体との反応およびこれに続くC-N還元的脱離反応の検討も行ったが、Ni上からアリール基が脱離した生成物のみが得られた。また、別のNi(II)錯体との配位子交換反応ではアザホスファトリプチセンのリン原子がNiに配位した錯体が得られた。これらの結果により目的の窒素原子上での反応は進行しないと判断して検討を中止した。一方でアザホスファトリプチセンにMeOTfを加えるとリン原子上がメチル化されたホスホニウム塩が得られたためこれとアリールNi錯体やアリール銅錯体の反応も検討したが、目的のテトラアリールアンモニウム塩は得られていない。 (2) ベンザイン原料とアザボラアントラセンの一部消失は確認ができたが、目的のテトラアリールアンモニウム塩の形成の確認はできなかったためこれ以上の検討は行っていない。 (3) 環化前駆体であるケイ素で架橋されたo-アミノフェニル基を有するトリアリールアミンが合成できたところまでは確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は(3)に示したケイ素架橋のo-アミノフェニル基を有するトリアリールアミンのジアゾ化からの環化反応を検討する。これまでにケイ素架橋のo-ブロモフェニル基を有するトリアリールアミンのX線結晶構造解析を行っており、この化合物が確かに生成していることは明らかとしている。現在はこれの非酸性条件下でのジアゾ化を検討している。環化反応が進行した際は、架橋部位のケイ素を酸で除去、目的のテトラアリールアンモニウム塩を遊離することを目指す。また、テトラアリールアンモニウム塩が生成した場合は、各種置換基を有するテトラアリールアンモニウム塩の誘導体も系統的に合成し、対カチオンとしての利用、超分子構成ユニットとしての応用、などを目指した検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
R03年度は試薬の購入が予想よりも下回ったために次年度使用額が生じている。R04年度は実験を行う人数を増やして検討の速度を上げる計画であり、翌年度分と合わせてこれを使用する。
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