2022 Fiscal Year Annual Research Report
異なるエッジ構造をあわせもつナノグラフェンのボトムアップ合成と機能開拓
Project/Area Number |
21K18959
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10302168)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェンナノリボン / アズレン / 多環芳香族炭化水素 / クロミズム / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者独自の連続反応によるシクロブタン構築法で合成できる多環状シクロブタン化合物を原料として、シクロブタンのひずみ解消を駆動力として非ベンゼノイド型拡張π分子の合成を進めた。以前合成に成功したアズレン含有グラフェンナノリボンとは異なるトポロジーをもつグラフェンナノリボンの合成を検討した。現在、最終工程の一つ前の基質合成に成功しているが、溶解性に難があり最終目的物の合成には至っていない。現在、溶解性を担保しうる置換基を導入した原料合成に取組んでいるところである。 また、その過程で得られるフルオランテン化合物が、外部環境に応じてUV-vis吸収や蛍光発光のスペクトルが変化するクロミズム特性を示すことを見出した。本化合物を系統的に合成するとともに、計算科学を用いることでクロミズム特性の理論立てを行った。特に置換基の位置が変わるだけで、濃色効果や神色効果という特徴をきわだたせることができる興味深い知見を得、クロモフォアとしての有用性を明らかにした。また、特筆することに一部の化合物は近赤外領域でのクロミズムを示すことやメカノクロミズムを示すことが示唆され、今後の研究展開により新規有機材料の開発が期待できるようになった。 複素環を構造欠陥に組入れたグラフェンナノリボンの合成にも取り組み、その基盤としてフラン環やピロール環を含む多環芳香族炭化水素(複素環)の新規合成法を開発した。チオフェン環の導入を試みたが、この場合は全く異なる化合物が得られることが明らかとなった。反応機構解析も同時に検討した。
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Research Products
(3 results)