2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Highly Efficient Room Temperature Phosphorescent Materials via Thermal Activation Process
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21K18960
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 洋平 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60608785)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 室温リン光 / 有機材料 / 汎用元素 / 有機EL / 熱活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本挑戦的研究では希少金属や重元素の導入、または結晶中での分子間相互作用に頼る既存の常温リン光有機分子の設計指針とは一線を画する、「熱活性型」室温リン 光を活用する分子設計戦略に基づき、汎用元素だけで構成される常温リン光有機分子を創出し、有機EL素子へ応用することを目的としている。2021年度は、これまでの研究代表者らの知見に基づき、ジベンゾフェナジンを電子アクセプター、ジヒドロフェナザシリン類を電子ドナーとする汎用元素だけから構成される、ねじれ型ドナー・アクセプター・ドナー(D-A-D)分子の種々構造異性体を設計・合成した。合成した化合物について、単結晶X線構造解析をおこなったところ、電子ドナーの結合部位に関わらず、ドナーとアクセプターは直交した配座であることが明らかとなった。そして、時間分解分光、温度可変フォトルミネッセンススペクトル測定によりその詳細な光物性を調査したところ、興味深いことに、電子アクセプター骨格上における電子ドナーの結合位置が異なるだけで、励起状態からの発光過程が室温リン光・熱活性化遅延蛍光との間で逆転することを見出した。主として室温リン光を示すD-A-D分子を発光材料として活用し有機EL素子を作製したところ、その外部量子効率は7.4%を示し、第一世代有機EL発光材料である即時蛍光材料を用いた場合を凌駕することを見いだした。さらに発光効率を向上させるための分子設計のもと、新たな発光分子の合成にも成功し、本研究を効果的に推進するための知見を新たに得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、研究代表者がこれまでに見出した室温リン光材料の構造ー物性相関研究を推進できており、より効率的な電気ー光変換エネルギーを示す室温リン光材料の創出に向けた知見が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
理論化学を専門とする研究者との有機的な連携により、理論面からの分子設計に関するサポートを受けつつ、新たな室温リン光材料を合成し、物性を探る。
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Causes of Carryover |
新型コロナ蔓延の影響を受け、分子合成の繰り延べに伴い実験消耗品の購入量が減った。また学会への現地参加も制限され旅費の支出が減少した。しかし、分子合成は2022年度に実施予定であり、また国際会議等も次年度は対面開催が見込まれることから、発生した未使用額は当初予定の通り、上記研究計画に必要な物品費および旅費に充てる。
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Research Products
(15 results)