2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of molecular-single-crystalline-catalyst cartridges
Project/Area Number |
21K18961
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久木 一朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90419466)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 水素結合 / 多孔質結晶 / 単結晶 / ヘキサアザトリフェニレン |
Outline of Annual Research Achievements |
分子単結晶は、分子が最も規則的に配列した分子集合体であり、分子の規則的配列と異方的集合構造に由来した優れた物性の発現が期待できる。本研究では、多様な有機構成分子から1次元チャネル状空孔を有する堅牢な多孔性単結晶を構築し、次いで触媒活性部位を導入することにより「単結晶触媒」へと展開することを目標としている。 本年度は、ヘキサアザトリフェニレン部位と、異なる化学構造のアーム部位とを有する一連の構成分子を合成し、それらを用いて多孔性単結晶の作成を行った。アーム部位には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ジフェニルエチニル基、およびファーフェニル基の中心ベンゼン環をベンゾチアジアゾールで置き換えた構造を導入した。その結果、これらのヘキサアザトリフェニレン誘導体はいずれも結晶中ではねじれた配座をもち、その配座同士の形状相補的な積層によって、空間活性化後も構造が崩れない安定な多孔質結晶を得ることに成功した。これらの多孔質結晶は、ジフェニルエチニル誘導体を除き、摂氏300度までの耐熱性を有する。またその空隙の比表面積は最大で1gあたり1300平方メートルを超える。これらの単結晶は、いずれも柱状あるいは針状の形状であり、結晶中の1次元チャネル空間の空孔径が大きくなるほどより細い針状結晶を与えることが分かった。これらの知見を基に、今後は結晶化の条件をさらに厳密に検討し、結晶の形状および大きさの制御を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、空孔径の異なるチャネル空間を有する一連の多孔質単結晶の作成を行ってきた。特に上記のように、ヘキサアザトリフェニレン骨格の周囲にアリールカルボキシ基を導入した一連の誘導体を用いることにより、空間活性化後もその多孔質構造を維持できる安定な多孔質結晶のライブラリーを構築しつつある。これらの結果より、本研究は現在のところおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、空孔径の異なるチャネル空間を有する一連の多孔質単結晶のライブラリーを充実させるとともに、チャネル空間内壁に反応活性部位を導入することにより触媒へと展開する。ライブラリーの構築では、以下の2つの観点からライブラリーの拡張を行う。すなわち、(1)空孔径がさらに拡大した多孔質結晶の作成と、(2)反応活性部位を導入するための足場となる種々の官能基を導入した多孔質結晶の作成である。さらに、結晶化の条件をさらに厳密に検討し、結晶の形状および大きさの制御を行う。また単結晶の力学的強度を高めるために、単結晶側面を結晶と相溶性のない熱硬化性ポリマーで被覆する等の検討を行う。
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Research Products
(9 results)