2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-sensitivity time-resolved CD measuring system for elucidation of functional biopolymers dynamics
Project/Area Number |
21K18992
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 円二色性スペクトル測定 / 高時間分解 / 高感度 / 楕円偏光検出 / 方位角制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
円二色性(CD)スペクトル測定は、構造変化の動的挙動を高感度で検出可能で重用されてきたが、現行CDの時間分解能は原理的にm秒程度で、μ秒程度の早い複合体形成検出には本質的な適用限界が指摘されている。このため高感度と高時間分解能を両立可能な新規CD測定原理と測定装置開発が切望されてきた。本研究では研究協力者の荒木保幸准教授の発案した楕円偏光を検出光として用いる新規検出法を活用した高感度・高時間分解CD測定装置開発に取組んでいる。 令和4年度は、荒木准教授らを中心とした研究により、楕円偏光を用いたCD測定法と市販のナノ秒過渡吸収測定装置を組み合わせることで構築に成功したμ秒時間分解能を有する過渡CD測定装置を用い、生体分子系測定に向けた先ず有機分子の励起三重項状態のCDスペクトル測定を検討した。 測定対象分子としては、高い三重項生成量子収率を有する[n]carbohelicenes([n]CHs, n =6, 7, 9)を選択した。 励起三重項状態の[n]CHの過渡吸収スペクトルにより、[n]CH*の吸収(T-T吸収)を測定した後、構築した過渡CD測定装置を用い光励起励起三重項状態 [n]CH* (n =6,9)のCDスペクトルを測定したところ、T-T吸収に対応する正のコットン効果を有する鏡像関係CDスペクトルが得られた。得られた吸収及びCDスペクトルとTD-DFT(UCAM-B3LYP /6-31G(d,p))を用いた量子化学計算結果と比較検討し、吸収帯及びCD符号共にいずれも良い一致を示した。 以上の結果より、本研究により構築した過渡CD測定法は室温・溶液中における有機分子の励起三重項状態のCDスペクトルを測定できることが明らかとなった。今後、μ秒時間分解能を有する過渡CD測定システムを用い、生体高分子の構造変化や複合体形成過程の動的挙動直接的観察・解析に取り組んでいく。
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Research Products
(8 results)