2021 Fiscal Year Research-status Report
環状のみからなる平衡反応と超分子的相互作用を利用したポリカテナンの合成
Project/Area Number |
21K18996
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 大輔 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (80736950)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | ポリカテナン / 動的共有結合 / ラジカル / エントロピー / ジスルフィド / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリカテナンは機械的結合と高分子が融合することによって生まれる夢の分子であるが、その合成は未だ挑戦的な課題である。本研究では、安定ラジカルを中間体として生成する動的共有結合を用いた環状のみからなる平衡反応と、超分子的相互作用を組み合わせることで、ポリカテナンを合成する新しい手法の開発を目指す。本年度は、本研究の鍵となる(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)を用いた環化反応に関する基礎的知見を明らかにするために生成する環のサイズが線状-環状の平衡反応に及ぼす影響について調査した。具体的にはBiTEMPS骨格を繰り返し単位中に有する種々の直鎖状高分子を合成して、希釈条件下で加熱することで平衡状態とし、得られる生成物の比率をNMRやGPC、HPLCを用いて解析した。いずれの系においても低分子量化が進行し、BiTEMPS骨格を分子骨格中に1つ有する環状体(1量体)と2つ有する環状体(2量体)が主生成物として得られた。解析結果を元にBiTEMPS間の分子鎖長(N: BiTEMPS間にいくつ原子が存在するか)がその平衡反応に及ぼす影響について考察したところ、Nが長いほど1量体が、短いほど2量体が優先して生成されることが確認された。N=34の時に1量体が最も効率的に合成できる一方で、それ以上となるとその収率は下がることがわかった。ここで得られた知見を元に、今後、環状高分子-環状分子への平衡反応を最適化し、超分子的相互作用を分子骨格中に導入することでポリカテナン合成へと展開する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の鍵となる(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)を用いた環化反応に関する基礎的知見として今回は生成する環のサイズが及ぼず影響についてその一端を明らかにしたが、超分子的相互作用に関する知見を得ることはできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見を元に、今後、環状高分子-環状分子への平衡反応を最適化し、超分子的相互作用を分子骨格中に導入することでポリカテナン合成へと展開する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた計画より実験が遅れているため、計上していた予算よりも少額の出費となった。来年度は今年度計画していたが実施できなかった研究も含め実施するため、それらに伴う出費も算出している。
|