2023 Fiscal Year Annual Research Report
コイル・グロビュール転移を電子輸送駆動源とした人工光合成ゲルの設計
Project/Area Number |
21K18998
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
桶葭 興資 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50557577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20610067)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 相転移 / 高分子 / 酸化還元 / 電子 / 触媒 / 水素 / イソプロピルアクリルアミド / ビオロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な社会の実現に資するため、高分子の相転移挙動を導入した人工光合成システムを設計した。高分子のコイル・グロビュール転移を電子輸送の駆動源とすることで、電子移動にかかる拡散律速の問題解決を目的としている。この能動的な電子輸送モデルは、精密な高分子設計に基づいたもので、マーカス理論が示す有効な電子伝達距離の条件を満たす有用な分子制御となった。実際の葉緑体のチラコイド膜が与える反応場のように、高分子ネットワークも複数の機能分子間で電子輸送において重要な役割を果たすと考えられる。 本研究では、2 nm以内の電子輸送を能動的に起こす高分子システムを精密設計した。ここでは、三元系高分子poly(NIPAAm-co-AAm-co-Viologen) が結合した白金ナノ粒子を作製した。高分子鎖のモノマー数や構成比を整えることで、白金ナノ粒子表面からビオロゲンまでの距離を制御できる。光エネルギーが供給されビオロゲンが電子を得ると、触媒の白金ナノ粒子まで迅速に運び、水素生成する仕組みである。従来の研究では、拡散律速に依存した受動的な電子移動が介在してしまっていたが、今回のシステムでは、高分子がナノ粒子表面に固定されたことでその能動的な電子輸送が可能となった。 本年度において、招待講演2件、および国際会議4件含む学会発表5件以上、査読付学術論文1報を発表し、活発な議論を進めた。特に学術論文については、表紙採択されたのみならず、報告書提出時点のAltmetric分析で、全研究アウトプットのトップ5%以内に入っており、極めて高い注目度を得ている。
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Research Products
(9 results)