2022 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of Oriented Carbon Nanowire Arrays via Solid-State Polymerization in Ultrafine Nanospaces
Project/Area Number |
21K19004
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 庸明 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 講師 (50632907)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / 直立 / 垂直配向 / 固相重合 / 共役化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
配向ナノワイヤは、一次元ナノ細線が同一方向に揃った構造であり、ナノスケールの一次元異方性を損なうことなくマクロスケールで発現する、巨視配向を有する鍵構造である。しかし、高度に垂直配向した有機ナノワイヤを、所望のアスペクト比・数密度で形成する手法の報告は国内外含め存在せず、唯一例のある結晶成長法は、可能な有機物の種類が極めて限定的であるばかりか、その径は小さいものでも100 nmに達してしまいナノワイヤと呼ぶには大きな構造体であった。 研究代表者らは、有機低分子薄膜を出発原料とし、垂直照射された高エネルギー粒子線の粒子が薄膜を通過する際の飛跡内での固相重合により、“粒子線を構成する高エネルギー荷電粒子の1個あたり1本のナノワイヤを創る”という独創的な手法を用い、ナノワイヤ数密度を完全制御した。出発原料薄膜の厚さがナノワイ ヤ長に対応するため、長さも均一かつ完全制御している。 前年度には、重合後に薄膜の未照射部位の低分子を“昇華”し、全てのナノワイヤを直立(垂直配向)させたまま単離する手法を確立した。今年度は、ヘテロジャンクションを形成するナノワイヤの構築をおこなった。二層膜あるいはそれ以上の多層膜を出発原料とすることで、連結型のナノワイヤを作製した。また、C60を出発原料とする垂直ナノワイヤを透明電極であるITOガラス上に作製し、それを起点としてビチオフェンの電解重合をおこなうことで、ポリチオフェンをC60ナノワイヤの周囲に被覆発達させ、同軸型のナノワイヤの構築にも成功した。 その他、超微細無機ナノワイヤ(カーボン、シリカ)への変換に挑戦するため、有機ナノワイヤ前駆体の焼成や分子性シリカ前駆体からナノワイヤ作製をする実験に取り組み、直立ナノワイヤの構築には成功したものの、無機変換が達成できているかの同定が難しく、確証は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有機ナノワイヤの焼成によるカーボン化が達成できているか、末端水素の定量のため、ERDA法を試みたが、ナノワイヤの絶対量が小さく、表面吸着した水分子由来の水素とナノワイヤ由来の水素からの寄与を完全に分離することが難しく、カーボン化による水素末端の消失の確固たる証拠が得られなかった。超微細なナノ材料のキャラクタリゼーションという難しさに直面したため、進展としては遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
有機ナノワイヤのカーボン化については、完全定量的な議論は現状できていないが、焼成により末端水素が減少し、少なくとも部分的なカーボン化が進行していることは確認できた。一方で、シリカナノワイヤについては、今後の焼成操作が重要である。その他のナノワイヤ状セラミックスの構築については、最終年度に取り組む予定である。最終年度は本研究を遂行する上で重要な大型加速器のマシンタイムが減ることが通知されており、より限られたイオンビーム照射実験時間の中で、上手く原料化合物を選定して研究を進める必要がある。具体的にセラミックスの候補として、ZnOやSnOx、TiO2などを考えており、前駆体となる金属錯体の候補の選定は完了している。
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Causes of Carryover |
本年度は、所有する試薬を原料に用いて実験をおこなったため、消耗品費が予定より大幅に減少した。また、実験状況の進捗がやや遅れているために、設備導入も遅れ、次年度に持ち越す形になった。次年度(最終年度)は、その分、今年度より研究費は必要となるため、研究期間全体としては問題なく執行できる計画である。
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