2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-performance organic semiconductor electrets
Project/Area Number |
21K19010
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野谷 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90633412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50830387)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 自発配向分極 / 有機薄膜 / 振動発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機エレクトレット材料の性能を飛躍的に高め、これまでにない革新的なエレクトレット材料を創出することを研究目的としている。近年、有機低分子蒸着薄膜で形成される自発配向分極を利用することで、コロナ帯電処理などの外部処理なしに自己組織化エレクトレットが形成されることが報告され注目されている。R3年度までの研究において、種々の有機蒸着薄膜における自発配向分極特性をケルビンプローブ法により評価し、蒸着速度および蒸着回数、成膜待機時間が、自発配向分極特性に大きく影響することを見出した。R4年度は、R3年度までの研究で得られた知見を基盤とし、分子配向をより積極的に誘起できる分子骨格を提案し、極めて大きな自発配向分極を得ることに成功した。具体的には、分子中にフッ化アルキル基を導入することにより、真空蒸着過程の薄膜表面における表面エネルギーを調整し、フッ化アルキル基が表面側に優先的に配向するように制御した。このような分子設計により、アモルファス性を維持されつつ、有機分子が薄膜垂直方向に配向する割合が増加するため大きな自発配向分極が得られる。また、フッ化アルキル基と組み合わせる官能基の性質により、分子内双極子モーメントの方向と分子運動性を調整し、蒸着薄膜における自発配向分極の極性および大きさを制御できることも明らかにした。開発した有機自発配向分極膜は、100 nmの膜厚で±10 V以上の自発配向分極を示した。これは膜厚1μmの場合、GSPが±100 V以上に達することを意味し、実用化されているエレクトレット材料の性能に匹敵または凌駕する値である。
|
Research Products
(2 results)