2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Layered Double Hydroxides with Electrochemical Anion Insertion-Extraction
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21K19015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
忠永 清治 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90244657)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | アニオン電池 / 層状複水酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全性にすぐれた新規蓄電池システムとして、アニオン交換型の電極材料を用いた電池系が注目されている。その中で、水系電解液中で陰イオンが挿入脱離可能な材料の開発が望まれている。本研究では、インターカレーション型の塩化物イオン挿入脱離可能な電極材料として遷移金属含有層状複水酸化物(LDH)を新たに提案し、水系電解液で電気化学的挿入脱離を可能とすることを目指している。 今年度は、遷移金属含有LDHの中で、一種類のみ遷移金属を含む系の代表例としてCo-Al系LDHを選択し主に検討を行い、Co-Al系LDHの酸化還元挙動および塩化物イオンの挿入脱離について、水系電解液および非水系電解液を用いて検討した。 塩化物イオンを層間に含むCo-Al系LDHを共沈法により合成した。この塩化物含有Co-Al系LDH、金属リチウム、LiClを溶解した有機系電解液を用いて3極セルを構築し、サイクリックボルタンメトリー(CV)、定電流充放電試験を行った。CVにおいて、LDH中のCoの酸化還元を確認できた。また、このセルは充放電が可能であり、電池として動作することを確認した。充放電前後でLDH中の塩化物イオンの濃度が変化したことも確認したので、Co-Al系LDHにおいて電気化学的にCoの価数を変化させることによって塩化物イオンを挿入脱離することが確認できた。 さらに、水系電解液においては、炭酸イオンを層間に含むCo-Al系LDHにおいて、水酸化物イオンの挿入脱離を伴うCo-Al系LDHのCoの酸化・還元挙動を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、Co-Al系層状複水酸化物の層間のアニオンを非水系電解液中において、電気化学的に挿入脱離できることを明らかにできた。また、水系電解液中においても、Co-Al系LDHの酸化還元が起こることも確認していることから、全体としては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な目標は、水系電解液においてアニオン(塩化物イオン)を電気化学的に挿入脱離することを目指している。 今後、Co-Al系LDHおよびその他の遷移金属含有LDHに関してさらに研究を進める。塩化物イオンを溶解した水系電解液における挿入脱離の検討、X線吸収測定による遷移金属の酸化・還元挙動の確認、サイクルに伴う構造変化の有無などを詳細に調べる。 一方、水系でNaイオンが挿入脱離可能な物質系の検討も進め、最終的に、NaCl水溶液を電解液として動作する「塩水電解質電池」を構築を目指す。
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Causes of Carryover |
情報収集のための研究打ち合わせや放射光施設の測定などを行うために旅費およびその他経費を計上していたが、コロナ禍の影響を受けてこれらの予定が実施できなかったために次年度に繰り越した。 2022年度は、放射光施設での測定などを積極的に行い、充放電挙動の解明を行うことを予定している。
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