2021 Fiscal Year Research-status Report
サイズ選択近接昇華プロセスの開発と高機能水分解光電極への応用
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21K19033
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
池田 茂 甲南大学, 理工学部, 教授 (40312417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 嘉太郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00375106)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 昇華性半導体 / ナノ構造形成 / 光電極 / 水分解材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケルビン式で表される毛細管内での気体の沸点が細孔外の沸点よりも低下することで生じる毛細管凝縮は、毛細管内の液体の表面張力から導かれる気相-液相間の平衡に適用される。一方、気相-固相間の平衡においても、毛細管内で昇華曲線の低圧側へのシフトは理論的に予測されている。本研究では、この昇華点降下現象を硫化スズ(II)(SnS)を、陽極酸化ポーラスアルミナ膜(APAM)の細孔内に選択充填させることで実証することを第一の研究目的とする。また、ほかの昇華性半導体(CdTeおよびZnTe)にも本手法を応用し、p型化合物半導体のナノ構造形成の新しい手法として確立する。さらに、得られるナノ構造を高機能水分解光カソードとして利用することを第二の目的とする。今年度は、第一の目的についてはSnSの成膜(昇華)条件の検証についての実験系の作成と基礎データの収集に努めた。細孔充填に関する検証実験までは進めていないが、昇華成膜を行うためのシステムについての設計については一定の進展を得たと考えている。また、実験を進めるための化合物半導体(原料)の合成および探索を行なっていくなかで、フラックス処理によって単結晶された酸化物半導体光触媒について、ドーパンと添加によって水の光分解特性の高機能化が図れることを見出した。また、第二の目的の実証のため、Zn系p型薄膜についての光電気化学測定について電極作成および物性評価等を進めた結果、ZnTe系の薄膜において、水分解水素発生が効率よく進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昇華性半導体の細孔充填現象の観察については、実験系の設計が進んでいること、光カソードの実証研究についてはSnS系では有意な成果は得られていないものの、ZnTe薄膜で一定の成果が得られた。また、昇華成膜のための半導体原料の合成実験を進める中で、単結晶状の水分解光触媒の合成とその高機能化法についてのユニークな結果が得られつつある。以上から、研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SnS系での昇華による細孔充填現状の実証実験と進めるとともに、光カソードとして機能化するための表面修飾法などの検討を開始する。水素発生光電極としての機能が確認されたZnTe薄膜では、最適化による特性向上を図る。また、新たに見出した光触媒の高機能化法についても合わせて検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、調査研究および学会発表等にかかる旅費がオンライン開催等への変更で不要となったため、これを次年度の旅費および原材料購入のための物品費として活用する予定である。
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Research Products
(4 results)