2021 Fiscal Year Research-status Report
生体分子認識型ナノポアによるバイオセンサと細胞機能制御
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21K19039
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神谷 厚輝 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70612315)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / リポソーム / ナノポアタンパク質 / 酵素反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌の外膜に存在するouter membrane protein (Omp)は、βバレル構造を有しナノポアを形成する。また、他のタンパク質を比べ熱安定性が高いため、生体分子をセンシングするナノポアタンパク質として有望であると考える。そこで、今回は、Ompファミリーの中で、βストランド数が異なるOmpGとOmpAを無細胞タンパク質発現系にて発現させ、OmpGとOmpAがリポソーム膜内への取込みが最大になるリポソーム組成の探索を行った。また、ポアサイズを変換する目的でOmpGのβストランド数の増減を行いナノポア直径の検討を行った。 OmpGとOmpA両方ともホスホチジルエタノールアミンとホスホチジルグリセロールから形成されるリポソームが、最もリポソーム膜への再構成量が多かった。また、リポソームに再構成されたOmpGとOmpAは人工細胞膜のパッチクランプによって、ナノポア内のイオン透過が観察された。したがって、リポソームに再構成されたOmpGとOmpAは正しいフォールディングをしていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無細胞タンパク質発現系でOmpGやOmpAが発現中にナノサイズリポソームを共存させておくことで、リポソーム膜にOmpGやOmpAが再構成される。そして、液中に存在しているOmpGやOmpAを除去するために、ショ糖密度勾配遠心を行った。その後、SDS-PAGEを行い、バンドの濃さからOmpGやOmpAのリポソームへの再構成量を検討した。大腸菌由来のリン脂質(PE/PG)や合成リン脂質のPE/PG組成のリポソームのほうが、ホスホチジルコリンから形成されるリポソームに比べ、OmpGやOmpAの再構成量が多かった。これは、大腸菌の細胞膜組成に似た組成の場合に、OmpGとOmpAの再構成量が多くなった、リン脂質の電荷が影響すると考えられる。これらの結果は、Scientific Reportsに掲載された。国内外の学会で積極的には発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、OmpGやOmpAナノポアの挿入されやすい脂質組成の知見を活かし、生体分子の検出を目指す。また、球状の人工細胞膜のリポソームにナノポアを再構成し、ナノポアを介した物質輸送を観察する。
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Causes of Carryover |
今年度はオンライン学会のみだったため、旅費を次年度の予算に繰り越した。また、今年度は、OmpGやOmpAナノポアの挿入されやすい脂質組成が分かった。次年度はナノポアの細胞サイズのリポソーム上での輸送を観察を予定しているため、顕微鏡が必要になった。次年度は、合算で顕微鏡を購入する予定である。
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