2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子認識型ナノポアによるバイオセンサと細胞機能制御
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21K19039
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神谷 厚輝 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70612315)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / ナノポアタンパク質 / 一分子検出 / DNA検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌の外膜に存在するouter membrane protein (Omp)は、βバレル構造を有しナノポアを形成する。また、他のタンパク質を比べ熱安定性が高いため、生体分子をセンシングするナノポアタンパク質として有望であると考える。そこで、今回は14本のβストランドから形成されるOmpGのβストランド数を増減させることで、ポアサイズの大きさの制御を行った。4本のβストランド数を増減させることで、OmpGのポア直径を変化させる戦略を取った。変異型OmpGを大腸菌にて発現・精製した。そして、円二色性スペクトルから、これらの変異型OmpGは正しいホールディングであると分かった。また、変異型OmpGのナノポアのイオン透過を人工細胞膜パッチクランプにて検討した。OmpG + 4βの電流値は、約150 pAと野生型OmpGよりも高い電流値を示した。一方、OmpG-4βの電流値は、βストランド数を減少させた部位の違いで、野生型OmpGよりも高い電流値のOmpG-4βと野生型OmpGよりも低い電流値のOmpG-4βが存在した。次に、ポア直径を概算するために、様々な分子量のポリエチレングリコールにてOmpGナノポアを閉塞させる。そして、OmpGナノポアを閉塞できる最大分子量のポリエチレングリコールを観察することで、OmpGナノポアの直径を概算した。その結果、ポアサイズが大きい順に、OmpG+4β, 野生型OmpG, OmpG-4βであった。したがって、イオン電流値の大小は、βストランド数の数だけでなく、ポア内の溶媒と接するアミノ酸の電荷の違いも重要な因子であることがわかった。 さらに、OmpG+4βと野生型OmpGのナノポアを用い、形状の異なるDNAの検出に成功した。これらの結果をまとめ、ACS Applied Nano Materialsに採択された。
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