2022 Fiscal Year Annual Research Report
Designer Melanin for Analyzing and Controlling Cells
Project/Area Number |
21K19045
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 志成 京都大学, 化学研究所, 教授 (10402926)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 1.ケミカルバイオロジー / 2.メラニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開始までに、メラノーマ細胞に備わるメラニン生合成の仕組みを単純な合成小分子化合物でハイジャックし、人工メラニンを細胞内で合成する手法を見出した。2021年度には、この人工メラニン合成法を応用し、細胞内に磁性を有する人工メラニンを合成することに成功した。一般的に、磁性有機小分子は磁性が小さく、外部磁場に応答するような大きな磁性を引き出すためには自己集合化や高分子化により分子サイズを大きくする必要がある。今回我々が合成した磁性チロシン誘導体も小分子単体では磁性が小さいが、メラノーマ細胞による酵素重合反応で分子サイズの大きな高分子に変換することで、磁性の大きな人工メラニンの合成に成功した。2022年度はさらに、本手法を非色素細胞へ展開した。メラニン合成酵素チロシナーゼの遺伝子を非色素産生細胞に導入することで、細胞内で磁性メラニンを合成させることに成功した。細胞内に磁性メラニンを合成した細胞を外部磁場存在下で培養すると、砂鉄のように磁力線に沿って培養皿に接着した。磁性小分子化合物を酵素反応で重合させ、外部磁場に応答する磁性材料を細胞内で合成する技術は報告例が無く、細胞制御の新たな技術として期待できる。本手法は、メカノバイオロジーや磁気遺伝学の研究に新たな道を開き、特定の細胞を磁気的に制御する枠組みを提供する可能性がある。本研究の成果はJ. Am. Chem. Soc.に発表した。(https://doi.org/10.1021/jacs.2c06555)
|
Research Products
(5 results)