2021 Fiscal Year Research-status Report
配列・環境依存的エピトランスクリプトーム制御法の開発と体内時計制御への展開
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21K19046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 未来 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80362391)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | RNA脱メチル化 / 酵素再構成系 / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、リガンドの添加によって酵素活性が復活するようなRNAメチル化調節酵素再構成系のスクリーニングシステムの構築に取り組んだ。そのためにまず、脱メチル化酵素FTOに関して、結晶構造をもとに酵素の分割を複数箇所で行い、酵素分割体とリガンド応答性会合ドメインとの融合体をマルチウエルプレート中でin vitro転写・翻訳システムにより合成することを試みた。しかし、この方法では、安定な分割体のタンパク質発現が困難であった。そこで方針を変え、配列選択的に結合するRNA結合タンパク質とFTOとをそれぞれリガンド応答性会合ドメインと連結させた融合タンパク質をデザインし、リガンドの添加によって、RNA結合タンパク質が結合するRNA領域の近傍をFTOが脱メチル化するような配列選択的/刺激応答性の再構成系の構築を目標とした。大腸菌発現系を用いて、融合タンパク質は問題なく発現、精製することが確認できた。しかし、脱メチル化酵素FTOをそのまま融合体構成因子として用いた場合には、リガンドを添加しない場合においても、高濃度では、FTO-会合ドメイン誘導体が周辺配列非依存的に脱メチル化活性を示してしまうという問題点が生じた。そこで、結晶構造をもとに、FTOの基質RNAへの結合親和性を敢えて低下させる変異を導入し、リガンド添加時にRNA結合分子がガイドするRNA配列近傍でのみ活性を発揮する変異体のスクリーニングを行なった。その結果、点変異の導入によっては、不活性化してしまう、もしくは、活性に変化をほとんど与えないのいずれかであったが、点変異を組み合わせることで、リガンド添加依存的に酵素活性を発揮する変異体の作出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激応答性、配列選択的な酵素複合体再構築系の基盤となる変異体の作出に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した変異体のオフターゲット効果に関して検証する。またこの変異体を、CRISPR-dCas13を用いたシステムに応用展開し、細胞内で体内時計関連RNAを標的として体内時計の制御を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行によって、オンライン研究打ち合わせ、オンライン学会への変更が生じたことと、適した人材が確保できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度の計画遂行のための、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)