2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平井 剛 九州大学, 薬学研究院, 教授 (50359551)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | グルコサミノグリカン / 代謝耐性型アナログ / C-グリコシド / ヒアルロナン / 水素添加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画に示したように、本反応ではヒアルナンアナログ3種を設計した。これら前例のないC-グリコシド結合を含む多糖アナログを、如何に効率的に合成するかが、本研究のポイントとなる。その実現には、4つの鍵反応を開発する必要があった。まず私達は、その基本構造となるヒアルロナン2糖ユニットのC-グリコシドアナログの短段階合成を志向し検討してきた。その基本戦略は、GlcNAc由来のドナーとGlcA由来のアクセプターとの、分子間カップリングによる、新規直接的β-C-グリコシル化である。これを効率的に実現できれば、C-グリコシドで連結した2糖構造を十数工程工程で合成できると考えた。 まず、GlcA由来のアクセプターの合成を検討した。一つ目の鍵反応は、Glc構造の一炭素増炭反応であった。3種のアナログ合成には、立体化学の異なる2つのアクセプターを合成する必要があり、この選択性制御がポイントであった。当初、この反応は全く進行せず、苦労したが、最終的に適切なGlc基質を見出し、立体選択的合成を実現した。さらに、2つ目の鍵反応であったGlcNAc構造をもつドナーとのカップリングを種々検討し、当研究室で開発した光レドックス触媒を用いるカップリングを適用できることを見出し、高いβ選択性でC-グリコシド型2糖の合成に成功した。 3つ目の課題は、C-グリコシド型2糖構造から、ヒアルロナン2糖ユニットへの変換であった。この過程で、4置換オレフィンの立体選択的水素添加を実現する必要があり、相当の困難が予想された。種々検討し、アナログ3種のうち2種の合成を達成できることを見出した。残る1つも合成は実現できたが、依然として最適化が必要ではある。引き続き、検討して行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定した困難な4つの鍵反応のうち、2つは完全に解決でき、1つは部分的に成功をおさめている。残り2年間で計画をしっかり遂行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
3つ目の課題である、4置換オレフィンの水素添加反応をさらに検討し、最適化していきたい。他の2糖構造の水素添加反応も検討し、本反応の理解を深めていきたい。 合成したヒアルナンC-グリコシド2糖アナログを多糖化するため、次年度は十分量合成できるようにしたい。 予定通り、2糖アナログは15工程程度で合成できているが、研究の円滑な遂行には、さらなる短工程化が必要と考えている。さらに効率的な合成を実現できる新たな合成戦略を立案したので、その検討も開始する。
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Causes of Carryover |
消耗品(TLCプレート、NMR用重溶媒)を次年度に執行することとしたこと、さらに予定していた学会への参加がすべてオンラインに変更になったため、次年度現地参加できるような体制を整えるために、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(20 results)