2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of type I interferon-inducing oligodeoxynucleotide using i-motif DNA structures
Project/Area Number |
21K19057
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山崎 智彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (50419264)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | CpG ODN / インターフェロン / iモチーフ構造 / トール様受容体9 / 円二色性偏光 / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はウィルス増殖を抑制するI型インターフェロンの産出を誘導する核酸分子を構築することである。I型インターフェロン(IFN)は自然免疫受容体であるトール様受容体(TLR)がウィルスやバクテリア由来の核酸を認識したときに誘導される。特に、病原体由来のDNAを認識するTLR9については、2000年以降多くの研究成果が報告され、人工的に合成したCG配列を有する非メチル化一本鎖核酸(CpG ODN)がリガンド分子として機能することがわかっている。しかしながら、TLR9にCpG ODNが認識されると、I型IFNに加えて、インターロイキン6などの炎症性サイトカインも誘導する。炎症性サイトカインの過剰産生はサイトカインストームを引き起こし、感染症悪化のリスクが高まる。申請者は、この問題を解決するためにpHにより構造を変化させる核酸であるiモチーフ構造に着目した。iモチーフは、シトシン同士が pH5.0以下の酸性条件において3位窒素プロトン化を介して塩基対をつくることで形成される構造である(A. Phan et. al. Nucleic Acids Res. 30, 4618. (2012))。iモチーフ構造にCpG ODNを導入することにより、中性環境である初期エンドソームではTLR9と結合してI型IFNを誘導し、酸性環境である後期エンドソーム/ライソソームではiモチーフ構造を形成することでTLR9と結合しない、即ち炎症性サイトカインを誘導しない核酸分子の構築する。 本年度は、既知のiモチーフ構造ならびに独自に設計したiモチーフのループ領域にCpG配列を導入した核酸(i-CpG ODN)を構築し、円二色性偏光(CD)を用いて構造を解析した。その結果、細胞外の環境ではランダム構造を形成し、一方で細胞内の後期エンドソーム/ライソソームを模倣した環境においてはiモチーフを形成する核酸を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に沿って研究が進んでおり、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に従い、まず、TLR9とiCpG ODNの結合能の解析を実施する。また、免疫細胞を用いたサイトカイン類の発現解析を実施することで、構築したiモチーフ構造を形成するCpG ODNの有用性を示す。
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Causes of Carryover |
本研究を申請する際に、予備実験を十分に進めてきた。予備実験の際に購入した試薬類の残りを利用して研究を進めたため、初年度の試薬代、消耗品代が当初の予定額から下回った。また、予定していた免疫沈降法ならびに表面プラズモン解析(SPR)の解析が、2022年度に実施することになったためそのための消耗品を2022年度に購入する。さらに、TLR9とiCpG ODNの結合能の解析本研究を進めるに十分な知識と技術を有する人材を2022年4月から雇用して研究を進める。
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