2021 Fiscal Year Research-status Report
方法的限界の打破から挑む、かつてない多様な植物種からの優れたRubiscoの発掘
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21K19059
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鈴木 雄二 岩手大学, 農学部, 准教授 (80374974)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | Rubisco / 酵素的特性 / スクリーニング / 野生植物 / 実験系の改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、これまでに確立した実験系を用いて、多様な植物種を対象とし、高性能Rubiscoの探索を行った。指標として炭酸固定反応の代謝回転数kcatcを用いた。これまでのところ、針葉樹や他の裸子植物において、Rubiscoのkcatcがイネの1.7倍程度の植物種を見出している。その一方で、初春の低温環境下で生育する植物種には高kcatc型のRubiscoを持つものは多くは存在しない可能性が考えられた。 これまでの実験系をさらに改良するために、スギ等の粗抽出液の粘性を抑えるための検討を行った。現状でもRubiscoの活性評価は可能であるが、問題点として、粗抽出液の粘性のため得られえるRubisco量が少ないという点が挙げられる。磨砕緩衝液に加えると粗抽出液の粘性が低下する化合物を見出したため、その有用性については現在も検討中である。 高山植物数種についてのRubisco活性測定を、現行の実験系を用いて試行したが、活性を検出するまでには至らなかった。本年度のサンプリングは、サンプル葉を現地で液体窒素で凍結保存し持ち帰ることで行ったが、生葉自体を持ち帰る等の改良が必要かもしれない。 Rubiscoの炭酸固定反応と酸素化反応の能力比の評価については、Rubiscoを精製する必要がない実験系が過去に用いられていた例があった。この実験系の方が、より多くの植物種のRubiscoの評価のために有用である。このため、この実験系の再現性を、データのあるタバコやコムギを用いて検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにRubiscoの酵素的特性についての報告例のない植物種からのデータ収集が進んできている。同時に、すでに確立した実験系は、多くの植物種に有効であるとのことも示されている。ただし、実験系の適用範囲の限界も見えてきている。また、新型コロナウイルス感染対策のため、遠隔地のサンプリングが制限されたことも多少影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後1年間は、より広い植物種からの高性能Rubiscoの探索を継続することを主眼とする。これとともに、各種実験系の改良や、酸素化反応の能力も含めたRubiscoの性能評価のための実験計検討を継続する。新型コロナウイルスの感染状況により、遠隔地のサンプリングが引き続き制限されることが懸念されるところではある。
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