2023 Fiscal Year Annual Research Report
方法的限界の打破から挑む、かつてない多様な植物種からの優れたRubiscoの発掘
Project/Area Number |
21K19059
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鈴木 雄二 岩手大学, 農学部, 教授 (80374974)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | Rubisco / 酵素的特性 / スクリーニング / 野生植物 / 実験系の改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では始めに、前年度に作成したRubiscoのCO2親和性簡易評価法の妥当性を検証した。評価はRubiscoのCO2非飽和条件とCO2飽和条件の炭酸固定活性の比(vcu/kcatc)で行った。C3・C4の対照植物から測定したvcu/kcatcとKcの文献値は強い負の相関関係にあり、この方法の妥当性を示すことができた。 次に、広い植物種のRubiscoの酵素的・量的特性を解析した。対象は高山植物3種、シダ植物等の進化段階の古い植物15種、水生植物2種であった。その結果、Rubiscoの酵素的特性が既知のものから大きく逸脱するような植物種はなかったが、生きている化石とも呼ばれるオオトクサやトクサのRubiscoが、C4植物と同等の高kcatc・低CO2親和性を示していた。オオトクサやトクサのRubiscoへの窒素投資割合は既知のC3植物と同等であった。また、ヒカゲノカズラ2種では、Rubiscoへの窒素投資割合がC4植物並みに低かった。このような植物についての報告例はこれまでに皆無である。これらの植物種では、その祖先が出現または多様化した時期のCO2濃度が高かったことが、Rubiscoの特性に影響していると予測された。 さらに、オオトクサについてはRubisco小サブユニットcDNA配列を新規に取得した。推定アミノ酸配列はコケやシダに比較的近いが、既知の配列とのホモロジーは最高でも6割程度に過ぎなかった。大サブユニットの推定アミノ酸配列はトクサ科内で非常にホモロジーが高く、シダ植物やある種の双子葉植物ともホモロジーが高かった。このため、小サブユニットがオオトクサのRubiscoの酵素的性質に影響している可能性が考えられた。
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