2021 Fiscal Year Research-status Report
強力なアポトーシス誘導活性を示す微量天然物の統一的全合成と構造活性相関・機能解析
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21K19061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ポルチミン / アポトーシス誘導 / 全合成 / 構造活性相関 / 機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポルチミン類のシクロヘキセン環を含むC1-C13部分の合成を行った。光学活性なビスオキサゾリン銅(II)錯体を触媒として用いる不斉Diels-Alder 反応により第四級不斉炭素を含むシクロヘキセン環を高ジアステレオかつ高エナンチオ選択的に合成し、さらに数工程の変換を経てチオエステルフラグメントを合成した。Evans不斉アルドール反応と光学活性ジフェニルプロリノールを有機分子触媒として用いたアルデヒドに対する不斉スタニル化反応を鍵工程として、αオキシアルキルスタナンフラグメントを合成した。こうして合成したシクロヘキセン環を含むチオエステルとαオキシアルキルスタナンのフラグメント連結を、チオフェン-2-カルボン酸銅(I)を用いたStille型カップリング反応により行い、目的とするカップリング生成物を良好な収率で得ることに成功した。本結果は、チオエステルとαオキシアルキルスタナンのStille型カップリングを、複雑な構造を有する多官能性の基質同士のフラグメントカップリングに適用した初めての例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全合成に必要な官能基をあらかじめ導入したシクロヘキセン環を含むチオエステルフラグメントとαオキシアルキルスタナンフラグメントをそれぞれ立体選択的に合成し、Stille型カップリングによるフラグメントの連結を行い、天然物のもつ全炭素数の9割以上を含む重要中間体の合成を達成し、全合成の完成に向けて大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
閉環メタセシス反応を用いた大環状骨格の構築とC14-C16位のα,α’ジヒドロキシケトン官能基の導入法を確立し、ポルチミン類の統一的全合成を達成する。さらに、確立した全合成ルートを活用した構造類縁体の合成、構造活性相関と機能解析を目指す。
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