2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K19067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 慎一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (30415260)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | アミノ酸 / セリン / 化学遺伝学 / 免疫抑制剤 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質を構成するアミノ酸の一つであるセリンは様々な代謝を受ける。脂質の原料となり、脱アミノ化されてTCA回路に入り、一炭素代謝によりメチル基やホルミル基を提供し、プリン塩基の合成にも用いられる。近年にはセリン代謝が、がんや病原性細菌の増殖においても重要な役割を持つことが示され、その代謝機構の理解と制御手法の開発が期待されている。申請者らはセリン代謝経路の解明と薬剤による制御方法の開発を目的として、分裂酵母をモデル生物としたスクリーニングにより、免疫抑制剤がセリンの資化を選択的に抑制することを見出した。当該化合物のレセプターはFKBP12タンパク質である。期待通り、しかし驚くべきことに、FKBP12破壊株のセリンの資化能は著しく低下した。本申請研究はこの現象を分子レベルで明らかにすることを目的としており、本年度は以下の解析を行った:(1)放射性同位体標識アミノ酸を用いたアミノ酸取り込みの解析とメタボローム解析による代謝解析;(2)遺伝学的スクリーニングによるFKBP12の下流因子の探索と同定。(1)では免疫抑制剤の処理によってアミノ酸の取り込みの阻害は見られないこと、一方で特定の代謝物の量に有意な変化があることを明らかにした。(2)ではFKBP12の下流因子Aを特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の解析を行った:(1)放射性同位体標識アミノ酸を用いたアミノ酸取り込みの解析とメタボローム解析による代謝解析;(2)遺伝学的スクリーニングによるFKBP12の下流因子の探索と同定。(1)では免疫抑制剤の処理によってアミノ酸の取り込み(グルタミン酸とセリン)の阻害は見られないこと、一方で特定の代謝物の量に有意な変化があることを明らかにした。このことは免疫抑制剤によるセリン資化の抑制は細胞内代謝、特にセリン代謝の抑制によることが示唆された。(2)ではまず、セリン代謝に関連する、生育に必須ではない9つの遺伝子について破壊株を作製し、セリン資化能を試験した。すると複数の遺伝子破壊株がセリン培地における生育不良を示した。それらについてFKBP12遺伝子を破壊し、生育試験を行ったところFKBP12とは異なる経路で働いている可能性が示唆された。次に生育必須遺伝子について解析を行い、遺伝子Aのノックダウン株がFKBP12遺伝子破壊株と同様にセリン培地で生育が低下すること、FKBP12遺伝子破壊株で遺伝子Aを強制発現させるとセリン培地での生育が回復することを見出した。これはFKBP12の下流因子がタンパク質Aであることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫抑制剤の標的分子であるFKBP12が制御するセリン資化の分子メカニズムを明らかにすることを目的として、初年度にFKBP12の下流因子候補Aを特定した。本年度は、FKBP12による下流因子Aの制御機構を解明すべく、以下の研究計画を立てている:(1)FKBP12と候補因子Aの遺伝子間相互作用の解析;(2)候補因子Aの転写・翻訳量および細胞内局在にFKBP12が与える影響の解析;(3)候補因子Aの酵素活性試験におけるFKBP12の影響の解析;(4)細胞形態やROS産生を指標にした候補因子Aとセリン代謝の関係の解明。これらの解析の結果と初年度の結果を総合的に解釈することで、FKBP12のセリン資化における機能を解明する。
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Causes of Carryover |
当該年度にはコロナの影響もあり旅費の支出が抑えられたため、次年度に助成金の一部を持ち越すこととした。
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Research Products
(2 results)