2022 Fiscal Year Annual Research Report
シアリダーゼ阻害を作用機序とする特発性肺線維症治療薬の開発
Project/Area Number |
21K19072
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
今村 彰宏 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30610951)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / シアリダーゼ / NEU1 / シアル酸 / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、既知リード化合物の合成法を再検討し、9位アミド化の反応条件を精査したことでグラムスケールでの合成を可能とした。最終年度は、リード化合物のNEU1阻害活性を超える新規阻害剤候補化合物の創製に向け、独自に保有するヒトシアリダーゼのホモロジーモデリングデータを基にして、新規化合物を分子設計した。ホモロジーモデリングデータから、NEU1の選択的基質認識にはシアル酸側鎖の周囲に位置するアミノ酸が重要であると推察された。ここには、極性アミノ酸であるAsp、Asn、Glnおよび疎水的なLeuが存在する。このことから、NEU1による認識をより高めるためには、疎水的相互作用だけでなく他の分子間相互作用を考慮した分子設計が望ましいと考えた。この考察に基づき、本研究ではリード化合物の9位置換基を構造変換した四種の新規化合物を考案した。 設計した新規化合物の合成は、9位アジド誘導体を共通中間体とすることで効率化を図った。9位アジド誘導体は、既知リード化合物の合成で確立した経路により速やかに合成を達成した。アジドからアミドへの変換は、本研究で確立した方法に基づき、市販の酸クロリドを用いてaza-Wittig反応を経由した反応により効率的に行なった。また、9位アミド置換基には、水素結合、誘起双極子相互作用が期待できる官能基を導入した。 合成した四種の新規阻害剤候補化合物は、ヒト肺毛細血管内皮細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト小気道上皮細胞を用いてin vitro阻害活性評価を実施した。その結果、いずれの化合物もリード化合物と同等の阻害活性を示したが、期待したような高度な阻害活性は見られなかった。このことから、NEU1による認識能を高めるためには、9位以外の構造改変が求められることが示唆された。
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