2021 Fiscal Year Research-status Report
ピロロキノリンキノン受容体の同定と機能解析:ビタミン様物質の新規生理作用の解明
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21K19073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 貴広 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80447838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤川 貢 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70405356)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ピロロキノリンキノン / Gタンパク質共役型受容体 / 代謝物感受性受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の中でも、腸管上皮などに発現する代謝物感受性GPCRに注目し、ピロロキノリンキノン(PQQ)による活性化を評価した。6種類の代謝物感受性GPCRに関して、PQQによる活性化をtransforming growth factor-α(TGF-α)切断アッセイにより評価したところ、GPR35のみがPQQにより顕著に活性化されることがわかった。さらに、 PQQはその投与濃度依存的にGPR35を活性化すること、PQQの部分構造体では全く活性を示さないこと、ヒトGPR35だけでなくマウスGPR35も活性化することがわかった。 ヒト結腸癌由来細胞株であるCaco-2細胞をモデルとしてPQQの機能について検討した。分化させたCaco2細胞にPQQを処理したところ、GPR35の下流に位置すると考えられるERKのリン酸化が認められた。このリン酸化は、GPR35のアゴニストであるCID 2745687の前処理により部分的に抑制された。このことからPQQによるERKのリン酸化にはGPR35が少なくとも部分的には関与していることが示唆された。 GPR35とPQQが直接相互作用をするかを証明するため、また新規なPQQ受容体探索を探索するため、PQQの化学プローブを作製した。PQQと受容体タンパク質との非共有結合による相互作用を捉えるため、光反応性官能基であるベンゾフェノンおよびクリック反応のためのアルキニル基を導入したPQQプローブを作製した。さらにこのプローブを用いて、培養細胞におけるラベル実験を行ったところ、複数のタンパク質がラベル化されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PQQ受容体の候補タンパク質を見出すことができた。またPQQプローブの作製も完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
PQQによるGPR35活性化の意義についてさらに詳細に解析を行う。あわせて、PQQプローブを用いた標的タンパク質の探索を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初2021年度内に購入し使用する予定であった試薬が、海外メーカーでの在庫欠品のため、202年度内に納品することができなかったため次年度使用額が生じた。 2022年度配分の助成金と合わせ、購入予定だった試薬の別メーカー品を購入する計画である。
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Research Products
(2 results)