2023 Fiscal Year Annual Research Report
Activation of microbial dormant secondary metabolism by plant hormones
Project/Area Number |
21K19081
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
木谷 茂 青山学院大学, 理工学部, 教授 (10379117)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 放線菌 / 植物ホルモン / 化学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物と植物の間には、多様な化学コミュニケーションが介在することが予想されるが、その多くは解明されていない。この化学コミュニケーションを見出せれば、微生物または植物の潜在能力を開拓できると期待される。放線菌は、有用生理活性物質を二次代謝産物とする微生物である。研究代表者は、放線菌の二次代謝調節因子が根寄生植物種子の発芽を抑制する現象を見出した。そこで、植物ホルモンも放線菌の二次代謝を調節するのではないかと考え、本研究では、植物ホルモンに代謝応答する放線菌種を同定し、植物-微生物間の化学コミュニケーションを明示することを目的とした。 昨年度までに構築した植物ホルモン代謝応答検出系にて、植物ホルモンを放線菌液体培地に添加したところ、Streptomyces sp. YO38株とStreptomyces sp. YO68株が、インドール-3-酢酸(IAA)添加に応答して、複数種の化合物の生産性を上昇させることが分かった。これら化合物の一部はIAAのものとは異なるUVスペトクルを示したことから、IAA応答性の放線菌化合物の存在が示唆された。一方、IAAはトリプトファンと構造類似することから、IAA添加がトリプトファン代謝経路を撹乱する可能性を考えた。そこで、L-トリプトファンを各種放線菌の培養液に添加したところ、植物内生放線菌の95%がまた海綿共生放線菌の21%がトリプトファン応答物質を生産した。これら物質を構造同定したところ、アントラニル酸や3-(ヒドロキシアセチル)インドールなどであり、さらなる物性解析より、トリプトファン代謝系物質「ではない」化合物もIAA応答性物質に含まれていることも分かった。 以上より、植物ホルモンIAAが放線菌の休眠二次代謝を覚醒する可能性が示唆されており、放線菌と植物の間にはIAAを介した化学コミュニケーションが介在することが予想される。
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