2021 Fiscal Year Research-status Report
人工プライベートシャペロンシステムの構築と難発現タンパク質生産への応用
Project/Area Number |
21K19084
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安井 典久 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90467514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 敦子 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (10321738)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / 人工タンパク質 / 難発現タンパク質 / プライベートシャペロン / 組換えタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究目的および研究実施計画にしたがい,自然に見出されるプライベートシャペロンとその基質タンパク質のペアを人工的に再構成することを目指し,基質タンパク質に結合する人工タンパク質の取得にとりかかった。具体的には,コラーゲンとHSP47の基質タンパク質・プライベートシャペロンペアを対象に,collagen Iに結合する人工タンパク質の作製を試みた。人工タンパク質の作製には,研究代表者らが構築した一本鎖モネリン (scMonellin) を分子骨格とする人工結合タンパク質 (SWEEPin) のファージディスプレイライブラリー (Yasui et al., J. Biochem. 2021) を利用した。ファージディスプレイライブラリーの選別において,標的であるcollagen Iを固相に固定する。これまでに,(1) 磁気ビーズへの固定化,(2) アガローズゲルへの固定化,およびELISAプレートへの固定化,を行いファージディスプレイライブラリーの選別に取り組んだが,collagen Iに結合するscMonellin変異体を得ることができなかった。このことから,選別過程そのものに問題がないかを検証する必要が考えられた。 一方で,ショウジョウバエS2細胞におけるscMonellinの発現系を構築した。具体的には,N末端に分泌シグナルを持ちC末端に小胞体停留シグナルを付加したコンストラクトを作製した。このコンストラクトをS2細胞に導入した結果,scMonellinの細胞内での発現が認められる一方で,細胞外への分泌は検出できなかった。小胞体停留シグナルを付加していない場合ではscMonellinの細胞外への分泌が検出されることから,発現させたscMonellinは目的通り小胞体に局在していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1年目に達成を見込んでいたcollagen Iに結合する人工タンパク質の取得を行えていないことから,上記の進捗状況であると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
コラーゲンに結合する人工タンパク質の取得を,引き続きscMonellin変異体ファージディスプレイライブラリーの選別により実施する。コラーゲンに結合することが報告されているタンパク質やペプチドを提示したファージを新しく準備し,これらを用いることで選別過程そのものに問題がないか否かをあわせて実施する。また,scMonellin変異体を動物細胞で発現・解析する実験系の構築にも取りかかる。
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Causes of Carryover |
本研究の実施1年目にあたる前年度において,研究が計画通りに進展せず,当初見込んでいた消耗品費の支出が極めて少なかったため。
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