2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of functional proteins bearing highly modified unusual protein-derived cofactors
Project/Area Number |
21K19094
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00452318)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 補欠分子族 / 翻訳後化学修飾 / キノプロテイン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで分子量10kDa程度の非常に小さなタンパク質内部でチロシン残基からo-キノン、システイン残基からスルフィン酸、それらを組み合わせて、Tyr-Cysの形成に成功した。さらに、これら結果を発展させ、天然で見られたことのないCysteinyl-Tyrosyl Quinoneの形成を達成している。本研究では、様々な位置でのTyr-Cysの形成を目指した。第1段階として、Tyr-Cysを生起する変異体を増やすため、様々な変異体構築とファインチューニングを行った。その後、出来上がった変異体を土台にして、さらなる変異導入と特性評価によるフィードバックを行った。Tyr-Cys近傍のアミノ酸残基に部位飽和変異誘発を利用してより修飾効率の良い変異体を獲得し、構造などの評価により、立体制御による形成メカニズムを検討した。すでに、58番目のヒスチジンをシステイン、108番目のイソロイシンをチロシンに変異させた変異体に存在する37番目のバリンにターゲットを絞り、部位飽和変異を行った結果得られた変異体を精製し、構造解析を行った。スレオニンやアスパラギン酸変異は単離できなかったものの、セリン変異体を単離することに成功した。Jeffamineを沈殿剤に用いてハンギングドロップ法にて結晶化を行ったところ、いくつかの単結晶が得られた。X線結晶構造解析の結果、A鎖では完全なTyr-Cysの形成が観測され、もう一方ではチロシンが複数のロータマーを示し、部分的なTyr-Cysの形成が観測された。このように、この新たな変異によってTyr-Cysの形成効率が上昇することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tyr-Cys近傍のアミノ酸残基に部位飽和変異誘発を利用してより修飾効率の良い変異体を獲得し、構造などの評価により、立体制御による形成メカニズムを検討した。すでに、58番目のヒスチジンをシステイン、108番目のイソロイシンをチロシンに変異させた変異体に存在する37番目のバリンにターゲットを絞り、部位飽和変異を行った結果得られていた変異体を精製し、構造解析を行った。スレオニンやアスパラギン酸変異体は精製過程で沈殿を生じ変性してしまう、プロテアーゼによる分解をうけるなどかなり不安定な特徴を示し、単離できなかったものの、セリン変異体に関してはこういった傾向は観察されず、アフィニティークロマトグラフィーと陰イオンクロマトグラフィーを用いて単離することに成功した。Jeffamineを沈殿剤に用いてハンギングドロップ法にて結晶化を行ったところ、いくつかの単結晶が得られた。硫酸銅を加えた抗凍結剤に結晶を浸漬し、X線結晶構造解析を行った。銅に由来する電子密度が観測され、その近傍でTyr-Cysの形成が見られた。A鎖では完全なTyr-Cysの形成が観測され、もう一方ではチロシンが複数のロータマーを示し、部分的なTyr-Cysの形成が観測された。これらより、この新たな変異によってTyr-Cysの形成効率が上昇することが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までTyr-Cys近傍のアミノ酸残基に部位飽和変異誘発を利用してより修飾効率の良い変異体を獲得し、構造などの評価により、立体制御による形成メカニズムを検討してきた。すでに、58番目のヒスチジンをシステイン、108番目のイソロイシンをチロシンに変異させた変異体に存在する37番目のバリンにターゲットを絞り、部位飽和変異を行った結果得られていた変異体を精製し、構造解析を行った。今後はさらにチロシンとの相互作用が考えられる39番目のアルギニンにもターゲットを絞り、部位飽和変異誘発を利用してより修飾効率の良い変異体を獲得し、構造な解析を行う予定である。すでにいくつかのコロニーではSDS-PAGE分析でもとの変異体よりも形成効率が高いものが得られている。さらに、37番目のバリンおよび39番目のアルギニン両方の効果を観測するため、両残基に同時に変異を導入する部位飽和変異誘発やそれぞれ良い変異を組み合わせた変異体を調製し、さらなる効率向上を目指す。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも、進捗がよく試行錯誤を繰り返すことなく変異体が得られたこともあり、生化学試薬や有機溶媒などの消耗品、物品費がかさまなかったため、次年度使用額が生じた。しかし、来年度におけるこれら使用額が同等であることは考えにくく、さらに別の変異体調製の必要性が生じたため、順次使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)