2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an innovative strategy to control gut microbes using indigestible peptides
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21K19096
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
栗原 新 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20630966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 倫基 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (00620220)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 難消化性ペプチド / 腸内細菌 / Bacteroides |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内常在菌叢は様々な疾患と深く関連することが報告されており、その制御法を開発すれば人類の健康寿命は大きく伸長すると考えられる。現在、腸内細菌制御を目的として経口摂取される難消化性オリゴ糖(プレバイオティクス)が数多く上市され、2022年には60億ドルの市場に成長すると見込まれている。しかし、三大栄養素の残り2種に対応する難消化性脂質、難消化性ペプチドは腸内細菌制御剤として非常に有望であるにも関わらず、ほとんど研究されていない。 本研究では、大豆由来難消化性ペプチドを培地に添加して、ヒト腸内常在菌叢最優勢32種の生育に与える影響について試験した。この結果、ヒト腸内常在菌叢最優勢32種に含まれるBacteroides属細菌11菌種の内、腸管バリアを破壊するBacteroides caccae (Cell 167:1339-1353. (2016))、大腸がん発生を促進する可能性があるBacteroides fragilis (Science 359:592-597. (2018)) 等、健康に悪影響を及ぼす可能性のある菌種を含む9菌種の生育が抑制された。次に、糞便由来細菌の共存下における大豆由来難消化性ペプチドによるBacteroides属細菌の生育抑制効果を次世代シーケンサーにより解析したところ、大豆由来難消化性ペプチド添加により Bacteroides属細菌が糞便培養液中に占める割合が減少した (n = 7、48.4%→24.7%、p = 0.0032)。一方で、他の腸内細菌属の占有率には統計学的に有意な変動は観察されなかった。以上を総合すると、大豆由来難消化性ペプチドは、ヒト腸管内において悪玉菌である可能性が示唆されているBacteroides属細菌を「狙い撃ち」で減少させる素材であることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難消化性ペプチドの菌叢改善効果が、単菌培養系のみならず、多種多様な腸内細菌の共存するヒト糞便培養系においても確認されたことから、難消化性ペプチドは腸内細菌叢改善剤として大いに有望であることが明らかとなった。また、本研究成果の一部を特許出願した。
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Strategy for Future Research Activity |
動物において同様の菌叢改善効果を有するかについて解析を行うとともに、早期に論文化を行う。
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Research Products
(2 results)