2022 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティックなトランスポゾン時空間特異的転移制御による果実発達機構の解明
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21K19113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 果樹 / トランスポゾン / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、グローバルなDNAメチル化/脱メチル化が果実の成熟プログラムに関与することはトマトなど多くの果実で報告されている(Liu et al., 2015; Huang et al., 2019)。また、色素合成に関わるMYB遺伝子領域のトランスポゾン挿入ならびにそれに伴うDNAメチル化の変化が、ブドウなどの果実色変異の原因であることも知られている(Butelli et al., 2012; Castillejo et al., 2020)。一方、代表者らはブルーベリーの成熟におけるエピゲノム動態について研究を進める過程で、トランスポゾンがある特定の時期にある特定の器官で正確に切り出される、すなわち植物がトランスポゾンを正確に制御し、果実発達制御に利用していることを示唆する現象を発見した。 本研究の目的は、果実着色における時空間特異的トランスポゾン制御の関与の可能性を検証し、その制御メカニズムを明らかにすることである。昨年度は果実の着色開始時にDNAメチル化レベルが変動することを明らかにでき、DNAメチル化がブルーベリーの着色に関わる可能性を示した。 本年度は、①着色遺伝子近傍のトランスポゾン配列解析、②ブルーベリー着色遺伝子候補の機能評価に用いるための果実における一過性発現系の構築、③トランスポゾン制御遺伝子候補の機能評価実験に用いるための早期開花ブルーベリー個体の作出をおこなった。①については、トランスポゾン様配列の一部を特定できたが、全配列決定には至らなかった。一方②,③については進展があった。ジェミニウイルスの複製システムを応用したつくばシステムベクターを用いることで果実における一過性発現系の構築に成功した。これを用いてブルーベリーMYBA1転写因子がアントシアニン合成能力を有することを証明した。③については、開花抑制遺伝子をゲノム編集によりノックアウトすることで、通常個体よりも半年早く開花する個体の作出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
果実着色遺伝子近傍に位置するトランスポゾン配列を決定するため、nanoporeシークエンス技術を応用することを試みたが、解析に必要な高品質DNAを果実から抽出することが困難だった。そのためこの区分の研究の進展はやや遅れていると判断した。一方、機能評価実験に用いるための材料の整備・獲得には成功した。よって総合的にはおおむね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ブルーベリー果実からのDNA抽出は困難をきわめた。そこで、果実からのDNA抽出法を改良する実験に加えて、栄養生長器官から抽出したDNAで着色遺伝子近傍の配列を決定し、得られる情報からPCRによってトランスポゾン配列の決定を試みたい。
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Causes of Carryover |
nanoporeシークエンスを予定していたが、高純度のDNAを抽出することができず解析ができなかった。次年度はnanoporeやpacbioなどのロングリードシークエンス技術の研究への適用を予定している。
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Research Products
(6 results)