2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19123
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鈴木 章弘 佐賀大学, 農学部, 教授 (50305108)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 菌根菌 / 共生 / 遠赤色光 / 光シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,菌根菌と宿主植物の共生には化学物質の相互認識のみならず,宿主植物からの光シグナルが関与している可能性が高いという事実を見出している。そこで本研究ではそれを証明するために,1)菌根菌の光応答の波長特異性,2)光による共生促進の菌根菌におけるシグナル伝達,3)光による共生促進の宿主植物におけるシグナル伝達,の3つの小課題を遂行する計画とした。 過去の実験から菌根菌は730 nmを中心としたFRに応答することが分かっていたが,今年度初頭からその応答が不安定になっていた。そこでまず今年度はそれを安定させるために,菌根菌を培養する培地の組成を再検討した。その結果,ある種の脂肪酸を添加することによって安定した結果が得られるようになった。小課題2に関しては,菌根菌の応答が安定した後,FRに関連するアノテーションが付された遺伝子に関して発現解析を行った。その結果,それらの遺伝子のうちの少なくとも1つの遺伝子は確かにごく微量のFRに応答して発現が上昇することを確認した。小課題3についても,菌根菌の応答が不安定であるという問題があったため実験への着手が遅れてしまった。しかしそれが修正できてからは,ダイズへ菌根菌を接種し地上部へRまたはR+FRを照射して菌根菌の感染率が異なる条件を設定し,その根からtotal RNAを抽出した。これについては今後早急にRNAseq解析をおこなって,FR照射によって菌根菌の感染率が上昇するメカニズムに迫る必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
菌根菌のFR照射に対する応答が不安定で,培養するための培地の条件を再検討する必要があったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
小課題1については,様々な波長の光を菌根菌の胞子へ照射してその応答を解析していく必要がある。小課題2に関しては,光照射した時の菌根菌側の遺伝子発現解析を推進する。小課題3に関しても既にRNAを抽出してあるためRNAseq解析を行う必要がある。
|
Causes of Carryover |
研究は2021年度に終了するわけではなく,継続中であるためわずかな余剰金が生じた。これは2022年度の研究遂行のために使用したい。
|