2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子ネットワーク構築による非モデル生物におけるデータ解析アプローチの構築
Project/Area Number |
21K19126
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
横井 翔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (40773073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増岡 裕大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (80816950)
曹 巍 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 上級研究員 (60802246)
小林 功 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (70442829) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | エリサン / バイオインフォマティクス / RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はシルクタンパク遺伝子の制御機構についてエリサンとの比較解析を念頭に、まずカイコにて組織別のトランスクリプトームデータ(Yokoi et al., 2021)を用いた共発現遺伝子ネットワーク解析を行った。なお、本解析の遂行にあたっては、従来の解析ツールより処理時間を大幅に短縮した新規のネットワーク構築プログラムを開発した。この新規プログラムを用いることで、大規模なトランスクリプトームデータを用いた網羅的な共発現ネットワーク解析が可能となった。この解析により、8種類のシルクタンパク質をコードする遺伝子に相関した発現パターンを示す遺伝子約1400種類を同定した。さらにそのうち転写因子であると予測される遺伝子を92種類同定した。これらの遺伝子と各シルクタンパク質遺伝子の関係性を探るため、終齢期間における経時的な発現解析を行った。その結果、シルクタンパク質遺伝子と、遺伝子発現プロフィールが相関する遺伝子を14種類同定した。これをシルクタンパク質遺伝子発現量調節遺伝子の候補遺伝子とした。以上の結果は論文としてまとめ、査読付き国際誌に受理されている(Masuoka et al., 2021)。 一方で、カイコの遺伝子ネットワークと比較するため、エリサンの5齢2,4,6日目における中部絹糸腺と後部絹糸腺の網羅的な遺伝子発現解析を行い、それぞれのサンプルおける発現量データを取得した。当初の予定よりサンプル数は少ないのは当初の分担者だった坪田が人事異動により課題担当者から外れ課題が遂行できなくなったためである。ただし、サンプル数が少なくなっても当初の目的であるエリサン遺伝子ネットワーク構築には十分であると考える。次年度はこれらのデータを用いたネットワーク解析を行い、カイコのものと比較することで、シルクタンパク遺伝子の制御経路の種間類似性や相違性を考察する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように当初の予定より早く、遺伝子ネットワークの構築のプログラムを確立できたため、比較的順調に進んでいると判断できるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
エリサンの網羅的発現量データを用いた遺伝子ネットワークの構築を行う。カイコとのネットワーク比較を行い、エリサンで特異的にシルク遺伝子と強く結びついている遺伝子を同定し、その遺伝子をカイコで機能解析を行うことで繭形成に関わるか調べる。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスによる疫病流行に伴い、学会発表がオンサイトで参加できず、また当初担当者の人事異動によって課題担当者から外れたため、一部のサンプル抽出ができなかった。このため、必要な経費(試薬の消耗品(物品費)、旅費)を予定通りを執行できなかったため次年度使用額が生じた。2022年度にはこれらの経費を使用して研究を進める予定である。
|
Research Products
(5 results)