2021 Fiscal Year Research-status Report
酵素型ロドプシン:光でON-OFFする酵素が描く新しい微生物の生き様
Project/Area Number |
21K19134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉澤 晋 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00553108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80805961)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ロドプシン / 光受容 / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物は“光”をどのような機構で受け取り、どのように利用しているのか?近年、数個体の真核微生物ゲノムから光受容体(ロドプシン)と酵素が融合したタンパク質が見つかり、光に応じて酵素活性をON-OFFすることが明らかになった。しかしながら、酵素型ロドプシンの遺伝的多様性や微生物への分布のみならず、機構発現メカニズムも未解明である。本研究では、真核微生物トランスクリプトームの情報解析、機能ドメインの機能予測、異種発現系を用いた機能解析などを駆使することで、酵素型ロドプシンの生物学的役割を解き明かすことを目的とする。 初年度は、真核微生物トランスクリプトーム(MMETSP:650種以上の真核微生物mRNAデータを含むデータベース)及びタンパク質データベースから網羅的にロドプシン遺伝子を探索。見出した配列からロドプシン以外の機能ドメインを持つ配列の抽出を行った。その結果、微生物型ロドプシンの配列中の約2%が機能ドメインを持つ酵素型ロドプシンである可能性が示された。この割合は当初想定していたよりも多く、真核微生物が何らかの目的で光を知覚していることが考えられる。また、機能ドメインの生物学的機能をアミノ酸配列情報から予測したところ、これまでに知られている酵素以外の候補も複数存在することが分かった。しかしながら、ロドプシンから機能ドメインまでの全長を含まない配列も多数存在するため、今後の研究では完全長の配列に絞って解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真核微生物トランスクリプトームから、多数の酵素型ロドプシン配列の検出に成功した。また、これまでに知られている機能以外の機能ドメインをコードしている可能性の高い配列も複数見つかったため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降の研究では、ロドプシンに融合した機能ドメインの詳細を大規模に予測する予定である。機能予測と並行して、DNA配列を人工的に全合成し異種発現解析を行うことで、機能ドメインの機能解析を実施予定である。また酵素型ロドプシンを保有する真核微生物の分離培養にも挑戦し、明暗条件での挙動の違いなどの調査も計画している。
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Causes of Carryover |
当初予定していた数よりも多くの酵素型ロドプシンの検出に成功したため、今後解析を行う配列の選別を来年度以降に実施することとした。そのため、初年度に計上していたDNA合成にかかる費用を次年度に繰り越した。次年度、機能ドメインを詳細に分類することで全合成を行う配列の選別を行う予定である。
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