2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel method for visualizing fish spermatogonia using transferrin receptor
Project/Area Number |
21K19138
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | A型精原細胞 / ヘテロな発現 / 細胞表面抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはニジマスESTライブラリーにおけるin silico解析およびRT-PCR解析にて、ニジマストランスフェリン受容体1(tfr1)がA型精原細胞の膜表面で発現していることをこれまでに明らかにしている。そこで本分子の特性を用いて蛍光標識トランスフェリンおよび蛍光標識鉄をA型精原細胞に取り込ませることによる生体染色の樹立を最終目標として、本年度は実際にtrf1のニジマス精巣および精巣細胞に対しての発現解析を行った。当該遺伝子のRNAプローブを作成しin situハイブリダイゼーションを行いmRNAの局在を観察した結果、trf1はニジマス精巣におけるA型精原細胞にて優先的に、B型精原細胞にて弱く発現していることが明らかとなり、当初の目的を遂行する上で有利な遺伝子であることが示された。さらにtrf1アミノ酸の細胞膜領域外2か所に対しポリクローナル抗体を作成し、タンパク質に対しての発現解析を行った。その結果、組織切片においてはin situハイブリダイゼーションと同様の発現パターンが観察され、タンパク質においてもmRNAと同様にA型精原細胞において優先的に発現していることが明らかとなった。さらにそれらの抗体を用いてニジマス精巣細胞を酵素分散した生細胞に対してtrf1抗体を用いて染色した結果、一部のA型精原細胞のみをヘテロに染色することが明らかとなった。以上ニジマスtrf1はmRNAおよびタンパク質どちらにおいてもA型精原細胞において優先的に発現しており、実際に細胞表面抗原として利用することが可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
trf1がA型精原細胞で実際に発現していることが本研究を遂行するうえでの前提条件であり、それらはin situハイブリダイゼーションおよび免疫組織染色による発現解析で明らかとなった。また細胞表面抗原に関連する研究において、用いた抗体が実際に表面抗原を染色可能であるかという点が大きなハードルとなるケースが多いが、現段階ではそちらも染色可能であることが分かった。さらにニジマス生細胞においてA型精原細胞集団をヘテロで染色するという当初予想していなかった結果が得られた。trf1はヒト、マウスにおいて癌関連遺伝子に発現していることが知られているため、それらを発現するA型精原細胞がより高い未分化能すなわち移植能を有しているようであれば、今後より大きな発見をできる可能性も存在する。よって本研究はここまでおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はニジマスtrf1がA型精原細胞においてなぜヘテロで染色されるのかとそれらヘテロで染色されている集団がどの様な機能性を持つのかを解析しつつ、じっさいにtfr1を用いた生体染色に挑戦していゆく。具体的には抗体染色を行った生細胞および固定細胞を共焦点レーザー顕微鏡で観察することで、シグナルの局在および挙動を観察する。さらにフローサイトメーターを用いてヘテロに染色されたA型精原細胞を単離したのち、ニジマス宿主に移植することで、その移植能を調べる予定である。生体染色に関しては、まず市販の蛍光標識トランスフェリンおよび蛍光標識鉄を用いた染色を試みる予定である。
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