2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of fine root species by visible near-infrared spectral reflectance
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21K19140
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
牧田 直樹 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (40723086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中路 達郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40391130)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 樹木根 / 分光技術 / 植物形質 / 炭素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
多種多様な樹種が混在する森林生態系において、各植物種の機能を理解するためには、その種を同定することが必須である。しかし、詳細な形態情報をもとに種の分類と検索法が確立されている地上部(葉や樹皮)と異なり、根の種識別に関しては、色や形態構造等の情報が乏しく、いまだに客観的な識別法の確立には至っていない。この結果、様々な種が混在している森林生態系での地下部の研究では、その識別の困難さゆえに、根の種を同定せず「根」という区分でひとくくりに扱っているのが現状である。 本課題では、可視-近赤外分光技術を駆使して、根の種識別の課題に挑戦している。分光技術は、対象物からの反射光を連続した多波長に分光し画像として計測する非破壊観測法である。植物組織の分光反射の波長依存性と強度(反射スペクトル)は、色素や有機物、水分などの内部の化学組成や細胞構造の発達段階を反映する。このため、反射スペクトルはリモートセンシングの分野では地上植生の分類や、窒素、水分などのマッピングに利用されており、観測者の主観を排除した客観的評価や再解析を可能にしている。本研究は、この技術を樹木根の観測に応用し、客観的かつ瞬時に種の識別できる方法の確立を目的とした。 本年度は、初年度に確立した根系の可視-近赤外分光反射率の技術を用いて、380~2500nm の連続多波長の分光反射率画像を撮影し、様々な種における樹木根の分光反射率を観察した。結果、根系の分光反射率は、樹種ごとで値が大きく異なる、一方、波長ごとに樹種差を超えた類似したパターンを示した。それらのデータを集約した結果、現段階での樹種判別は、約60%の正答率であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根系の可視-近赤外分光反射率の技術を野外の樹木根系に適用し解析技術の確立と現場での実地試験を実施している。現在進行中ではあるが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られている分光画像データや根系の構造情報をもとに、樹種別の教師データ(データに付随する正解データ)を作成する。調査樹種の樹種-分光反射画像の根系データベースを構築する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染に関する危機管理対策から野外調査に制限がかかってしまい、予定通りの調査を実施することができなかった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。次年度には、コロナウイルス感染の状況に応じつつも、予定していた内容も踏まえて実施する予定である。
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Research Products
(3 results)